全国初、家庭や法人の余剰電力をTポイントで割増し買い取り 福井県敦賀市、再エネを公共施設に供給

再生可能エネルギーの地産地消へ余剰電力の提供を受ける福井県の敦賀市役所庁舎

 福井県敦賀市は、市内の太陽光発電による余剰電力を市公共施設に供給する「再生可能エネルギーの地産地消」に着手した。固定価格買い取り制度(FIT)が終了した「卒FIT電力」を、Tポイントを上乗せした事実上の割増価格で買い取る全国初の取り組み。市の担当者は「水素などエネルギー多元化の一環として、市内の再エネを最大限に活用することにつながれば」とし、参加を呼び掛けている。

 敦賀市と北陸電力(本店富山市)、CCCマーケティング(東京都)が3月に締結した覚書に基づく取り組み。7月1日から申し込みを受け付けており、供給開始は9月を予定している。供給先は敦賀市役所。

 市内でFIT期間を終えた太陽光発電設備を持つ350家庭・法人が対象となる。北陸電力は卒FIT電力を1キロワット時当たり8円で買い取っており、参加者には市が特典として1キロワット時当たり3円相当のポイントを付与する。

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 対象家庭などが全て参加すると市役所の全電力の8割以上が再エネでまかなうことができる。また、余剰電力の状況やTカードから得られる消費行動のデータを、快適で利便性の高い地域を実現する「スマートエリア」形成に向けた分析や実証に活用する計画。

 市は昨年7月、2050年までに市内の二酸化炭素の排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を宣言。宣言時に渕上隆信市長は「地域の脱炭素化を進め、エネルギー供給都市である敦賀の姿勢を内外に示したい」と強調している。

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 再エネの地産地消について市の担当者は「地域に点在する再エネをひとつにまとめて最大限活用することが狙い。市役所への供給といった行政の脱炭素化だけでなく、将来的には誘致企業への提供などにもつなげたい」としている。

 問い合わせは敦賀市ふるさと創生課=電話0770(22)8111。

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