スペースX、ドイツ連邦軍の衛星「SARah-1」打ち上げ成功 衛星はドイツからアメリカへ運搬される

スペースXは現地時間6月18日に、同社の「ファルコン9」ロケットの打ち上げを実施しました。このミッションは、現地時間6月17日から19日にかけて3日間連続で実施されたファルコン9ロケットの2回目の打ち上げとなりました。

【▲ ヴァンデンバーグ宇宙軍基地で打ち上げを待つファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】

ファルコン9ロケットは米国太平洋夏時間2022年6月18日午前7時19分、カリフォルニア州にあるヴァンデンヴァーグ宇宙軍基地から打ち上げられました。打ち上げとロケットの第1段機体が着陸する様子は、同社の公式SNSやYouTubeなどで中継がありました。しかし、ロケット第2段機体の投入や衛星の軌道投入は、中継されませんでした。打ち上げ中継のホストを務めた同社のAndy Tran氏は、「カスタマー(顧客)の要望により、第2段ロケットの様子は映さず、第1段機体の地球帰還後、中継が終わりとなります」と述べました。

このミッションで使用された第1段機体は、2022年2月に実施された「NROL-87」ミッション、2022年4月に実施された「NROL-85」ミッションでそれぞれ使用されており、今回が3回目の打ち上げと着陸になりました。機体は、ヴァンデンバーグ宇宙軍基地内の着陸パッドへ帰還しました。

【▲ 地上へ帰還する「ファルコン9」ロケットの第1段機体(Credit: SpaceX)】

今回の打ち上げで搭載された衛星は、地球観測衛星「SARah-1」です。この衛星は、ドイツ連邦軍によって使用されます。開発と製造は、エアバス社が担当しました。スペースXの打ち上げ中継の際に流れた映像では、衛星の組み立て施設があるドイツのフリードリヒスハーフェンから打ち上げ施設があるアメリカのカリフォルニア州ヴァンデンバーグまで、船やトレーラーを用いて運搬する様子が映し出されました。

【▲ エアバスが開発した地球観測衛星「SARah-1」のイメージ図(Credit: SpaceX)】

SARahはドイツ連邦軍が新たに運用する偵察システムで、複数の衛星と地上セグメントから構成されます。衛星は3機編成で、今回は1機目の打ち上げとなります。ドイツ連邦軍は現在「SAR-Lupe」というシステムを用いていますが、将来的にはSARahに置き換えられます。

なお、スペースXは現地時間6月17日にフロリダ州のケネディー宇宙センターから「スターリンク」衛星の打ち上げを実施しました。また、「SARah-1」衛星の打ち上げ後には民間の通信衛星「Globalstar-2」がフロリダ州にあるケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられており、スペースXは打ち上げラッシュを迎えました。

関連記事:スペースX「スターリンク衛星」53機の打ち上げに成功 第1段は同一機体13回目の飛行を記録

Source:

  • Image credit: SpaceX, Airbus
  • SpaceX \- SARAH-1 MISSION
  • Airbus \- Airbus-built Earth observation satellite (SARah-1) ready for launch
  • sorae \- スペースX、「SARah 1」「Globalstar-2 FM15」軌道投入成功 −打ち上げ情報

文/出口隼詩

© 株式会社sorae