「夏ほど節電しなくていい?!今こそ!電気も自給自足で」
先日、発表された7年ぶりの節電要請。7月から9月までの特に夕方5時から8時まで電力利用を控えて欲しいというものです。一方、燃料費高騰により全国的に電気料金が上がっています。
広島でも標準家庭の使用料で1年前と比べると、1100円ほど値上がりしています。
ところが、そんな値上げとは無縁で暮らす人がいるんです。その人によると夏は電力使い放題、むしろ使わない方がもったいない、でも梅雨時期はちょっと心配。どういうことなのか、取材しました。
広島市南区に家族3人で暮らす会社員の二井理江さん。5年前に建てた家のキッチンには、電化製品が並びます。コンロはガスで、土鍋派なので炊飯器はありませんが、精米機もホームベーカリーも電動です。共働きの二井さんは朝のうちに、1日分の食事を調理しておくそうです。
二井理江さん
「結構フル活用。フル活用ですよね。節約しようとかみたいな感覚は全然ないですよね。時間との勝負なので」
ロフトクーラーの設定温度は27度。つける時間は好きなだけ。
二井理江さん
「実は最初に買ったときには24時間つけたんですよ。家が熱くなっちゃうからつけとこうかなと思ってつけて、はい」
この節電時代になんて贅沢な、と思ってしまいそうですが。
二井理江さん
「繋がってない、繋がってない。普通の家だと必ずここの電線から、電線から家に繋がるじゃないですか。うちはもうここが、ないので、見通しが良い」
実はこの家、電線がつながっていないいわゆる「オフグリッド」な家。ソーラーパネル電力は、屋根の上の12枚のパネルで自給しています。さらに太陽光発電をしている多くの家と違っているのはこの電力をためていること。
「これフォークリフト用のバッテリーなんですけど、それを24個つけていて」
家の床下部分に設置した蓄電池には、普段の使用量なら1週間分ほどの電力が溜められる仕組みです。
「夏暑いときはけっこう減りも早いので」
つまり二井さんのうちの電気代は毎月0円。ランニングコストとしては、バッテリー液と延命剤に月々1500円ほどかかるだけです。
二井理江さん
「いっかいスッゴイもう爪に火をともすような生活をしてみようってやって」
東日本大震災を機に電気や環境のことをこれまで以上に考えるようになったという二井さん。一旦は徹底的な節電生活を試みたそうですが。
「なるべく節約節約って思って、節電しようとかってやってたら、なんか、夫婦仲が悪くなったっていう、すごく夫のストレスだったみたいで。夫が電気をつけた後、私が消してもらったりとかするから、だんだん機嫌が悪くなって」
そこで二井さんが決断したのが完全に自家発電のみで暮らすオフグリッドな生活。初期費用には210万円かかりました。
「車1台買い換えるのを、ちょっと1回見送るぐらいにして、それで購入」
「自分の家で発電できるなら、もうそれ発電して、そのまま貯めておいて、それを自分で使うんだったら、自分でもう完結するし、誰にも迷惑をかけないし、無駄もないし、これはいいんじゃないかなって思って」
二井さんは、送電にかかる無駄に対しても疑問があることから売電もしない、と決めました。
「ここに緑のランプがついているのは、今チャージしていますよっていう」
当初は、梅雨や台風シーズンの電力不足を心配したそうですが
「ちょっと雨降っても雨上がりで少しその明るくなってきたなとかっていうぐらいだったら、もう発電するんですよ。だから5日か6日か1週間ずっと雨が降り続けるってなかなかないんじゃないですか。だから、だんだんは何とかなるかっていうふうな。減ってくるとトイレのウォシュレット切っとくかみたいな」
息子・智宏さん
「不安な時もありますけどまぁ別にいいんじゃないですか」
移動蓄電量が50%を切ったことも、1度しかないそうです。
1年目は導入を見送ったエアコンも、2年目には1台だけ家の一番高いところに取り付けました。
「冷気が下がっていくのでそうすると家の中全体が冷たくなっていく冷たく涼しくなるので、それで一番、高いところつけて空気が動きやすいようにしてます」
電力不足や料金の高騰が騒がれる今、「元をとる」ことはできていなくても電力を自給する生活には、「安心感」があるのだと二井さんは言います。
「なんかすごい脱炭素とか、環境とか、いま電気の使用量がとか何とかってこう言われていることから無縁になるので気持ちが楽になる」