箱根・大涌谷で立ち入り規制 火山ガスの濃度上昇 県道の一部も通行止め

火山ガスの濃度が上昇し、立ち入りが規制された大涌谷=4日

 箱根町は6日、箱根山の大涌谷園地で火山ガスの濃度が上昇したとして、園地への立ち入りを終日規制した。園地に駅舎のある箱根ロープウェイが運行を見合わせたほか、大涌谷に通じる県道734号も一部が通行止めとなった。人的被害は確認されていない。

 町によると、同日午前2時25分ごろ、園地の駐車場にあるガス計測装置で、硫化水素(H2S)の濃度が屋内退避の基準(10ppm)を超える10.8ppmを記録。同2時半には、二酸化硫黄(SO2)の濃度が5.1ppmとなり、基準(5ppm)を上回った。

 濃度はその後変動したが、園地の開放が終わる午後5時までに規制解除の基準を下回らなかった。噴煙地が間近の自然研究路も閉鎖され、予約制の引率入場は4回とも中止された。

 大涌谷では、観測史上初の噴火が起きた2015年の火山活動以降、噴気の活発な状態が続いている。

 昨年8月31日と9月2日には、SO2が退避基準を上回り、観光客らを屋内に避難させたが、計測装置の不具合が原因だったことが町の調査で判明。今回については「2種類のガスが同時に高濃度になっており、機器のトラブルは考えにくい」としている。

 大涌谷で定期的に火山ガスを観測する東海大の大場武教授は「風向きの影響ではないか。大涌谷を訪れる人はこうした状況もありうると認識しておくべきだ」と指摘する。県温泉地学研究所によると、地震や地殻変動といった火山活動の活発化を示す現象は確認されていないという。

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