Vol.01 ドローン前提社会直前!荒天の中”当たり前”に飛ぶドローンが勢揃い[DRONE EXPO 2022 in Aichi]

DRONE EXPO 2022 in Aichi開催!悪天候の中、空を舞うドローン達

台風の影響で時折雨が降る中、そのような悪天候をまったく、ものともせず何機もの産業用ドローンが目の前を飛んでいた。2022年7月5日、愛知県豊田市の藤岡ヘリポートで"ドローン前提社会が体感できるイベント"として「DRONE EXPO 2022 in Aichi(主催:株式会社プロドローン)」が開催された。

今年は有人地帯における目視外飛行(Level 4)が解禁になるほか、新しい資本主義の骨格である「デジタル田園都市構想」の中で中山間部や離島におけるドローン物流が重要な施策として位置づけられたり、「国土強靭化計画」の中でも災害時のドローン利活用が重要視されたりとドローンの利活用がより一層進むものと見られている。

しかしながら、まだそのようなドローンが私たちの生活に役立つ姿を実際に見たことがある人は限られており、今回の「DRONE EXPO 2022 in Aichi」ではその様子や近未来の姿を見せることでドローンの社会受容性の機運を高めるという目的のもと開催された。

メディア向けに実施された時間帯は雨が強く降ることもあったがTVや新聞など多くのメディアが集まった

冒頭にもあるとおり、当日は時折雨が強く降る場面もあったが、消防や測量、物流や点検などさまざまな分野で活躍する全天候型ドローンのデモフライトが実施された。開催は降雨の影響で中止も危ぶまれたが、むしろ降雨の中でも"当たり前"のように飛行するドローンが「ドローン前提社会」がすぐ近くまで来ていることを証明しているようにも見えた。

また名古屋鉄道株式会社とPRODRONEは、業務提携契約を締結の発表も行われた。安全・安心の「空のインフラ」を構築し、社会に貢献することを目的としている。 業務提携の概要として、PRODRONEが開発・生産する産業用ドローンおよび関連システムについての講習プログラムを共同開発し、名鉄ドローンアカデミーが講習を実施するという。

豊田市消防本部が取り組むFireDrone利活用

豊田市消防本部は要救助者をドローンで捜索、発見後にホイッスルを投下するデモ。令和元年に本格運用を初めて以来、山岳救助や水難救助活動に実際に活躍しているという
FIRE DRONE ワンボックスカーで現場に駆けつける。荷台はカスタマイズされ機体の出し入れも効率的にできる。機体はPRODRONE PD4-AW2(機体サイズ:1,060mm、重量4kg)
座席部分にモニターが設置され機体のFPV映像やサーマルカメラ映像をリアルタイムで確認できるようになっていた

クオール薬局が目指す医療DXで活躍する物流用PRODRONE PD6B Type-3

医療DXで活躍する物流用PRODRONE PD6B Type-3。右側作業員が持っているBOXは医薬品用に保温機能とトレーサビリティ機能を強化したオリジナルBOX
PD6B Type-3 は最大積載重量30kgにもなるため、経口補水液などの重要の重い荷物も運ぶことができる
飛行ルートや機体のFPV映像を投影したGCS画面

活躍するPRODRONE機体たち

ガソリンエンジンで駆動するPDH-GS120も登場!120分飛行可能な機体で手前の機体が監視用、奥が物流用。全天候型であることはもちろん、電動にはない長距離飛行機能で広域監視やラストワンマイルを超えた物流を実現する
水面に着水もできるドローンPRODRONE PD4-AW-AQ

DRONE FUND共同創業者 / 代表パートナー大前氏の基調講演

また、DRONE FUND共同創業者 / 代表パートナー大前氏の基調講演では「急激な変化は条件が整ったときに一気に訪れる(大前氏)」ことが1900年〜1913年に起きた馬車→自動車への革命的変化を例に提示され、ドローン・エアモビリティがその段階にあることが伝えられるとともに、実現へ向けた課題感を問題提起していた。

DRONE FUND 共同創業者 / 代表パートナー 大前創希氏

災害対策DXの研究開発を行うテラ・ラボ代表 松浦孝英氏

ほかにも、愛知にゆかりがある災害対策DXの研究開発を行うテラ・ラボ松浦氏や、ドローンの遠隔操縦や自動追尾などソフトウェア開発を進めるRed Dot Drone Japan三浦氏の講演もあり、半日のプログラムであったがドローン前提社会を一足先に見られるとても充実した時間だった。

テラ・ラボ代表 松浦孝英氏
会場にはテラ・ラボの垂直離着陸型テラドルフィンも展示されていた

Red Dot Drone Japan 三浦氏による遠隔操縦や自動追尾撮影の事例紹介

Red Dot Drone Japan 三浦望氏
遠隔操縦や自動追尾撮影の事例を紹介。「たくさん飛ばすことで社会受容性が高まり、いろいろなニーズが生まれてくる。」と今後もさまざまなプロジェクトにチャレンジしていくとのこと

ドローンというと、雨や風によって飛行の可否を左右されるイメージが強く「本当に物流や捜索、点検などに使えるのだろうか…」と疑問を持つ方も多かったのではないだろうか。しかし、今回フライトデモンストレーションした機体は台風の雨も関係なく、通常通り飛行していた。「DRONE EXPO 2022 in Aichi」は、ドローンは私たちが考える以上に早いスピード感で社会実装されることを伝えてくれた。

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