副作用の少ない従来型の国産「不活化ワクチン」、9月にも承認申請 KMバイオロジクス

 明治グループ傘下のKMバイオロジクス(熊本市)は6日、開発中の新型コロナワクチンの臨床試験結果の速報値を公表した。有効性と安全性についてともに十分期待できる結果だとしており、9月にも国に薬事申請する見通し。

中和抗体値が高く、副反応は既存ワクチンより少ないとの結果

 同社が公表したのは、昨年10月より2000人規模で行っている臨床試験結果の速報値。それによると、評価対象とした18歳から40歳までの120人に対する3回のワクチン投与後の中和抗体値において、当初よりも高く効果が十分期待できる結果が得られたという。なお3回のワクチン投与のタイミングは、1回目と2回目の間隔を28日、3回目を2回目投与から13週後と、既存ワクチンとほぼ同様のスケジュールで行った。

 注目されるのは安全性で、今回の結果では日常生活に支障が出るほどの副反応が出た割合は0.1%と、インフルエンザワクチンなどと同程度だったという。同社が開発中のワクチンは、無毒化したウイルスを使う従来型の「不活化ワクチン」と呼ばれるもので、ファイザー、アストラゼネカのワクチンと製法が違っており、より高い安全性が期待されていた。同社ではこの結果を受け、9月にも国に対し薬事承認を申請すると表明した。

 なお同社は、このワクチンを生後6ヵ月から17歳までの小児に投与する臨床試験も同時に実施している。来年初頭にも結果が出る見通しだが、現在乳幼児や就学前の小児に接種できるワクチンが存在しないという問題があり、ここ数ヵ月で小児に感染が広がっている要因ともなっている。同社は「安心して使用いただける不活化ワクチンを早期に実用化することで、全年齢の接種率の向上に貢献したい」としている。

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