住友林業、上智大の木造キャンパスを竣工 中高層木造建築物用技術などを採用

(提供 日刊不動産経済通信)住友林業は、東京・千代田区の上智大学四谷キャンパス15号館(木造3階建て、延床面積478・35㎡)を竣工させた。中高層木造建築物向けの新構造技術など最新技術を盛り込んだ旗艦棟となる。
構造は、木質耐力部材に高強度の鋼棒を通して引張力を加え、固定度を高める「ポストテンション耐震技術」を一部で採用。同社の筑波研究所(茨城県つくば市)で研究開発と試験を進めてきた技術で、実用建物での採用は同研究所の3階建て研究棟に続く2棟目、研究所外での建設は初となる。同社が参画する米国カリフォルニア州での耐震試験用10階建て木造ビルでも採用されている。1時間耐火大臣認定取得済みの純木質耐火集成材「木ぐるみFR」も導入した。
外観は、多摩産材と鉄を組み合わせた外部格子で道路に面する2面を覆い、残る2面中1面は壁面緑化を施す。屋上も緑化する。外部格子に用いる木材は、年間を通して日光と風雨にさらされるため通常は1年ほどで再塗装が必要だが、同社独自の高性能塗料「S-100」の塗布により再塗装は5年に1度で済む見込み。各階は外部格子と教室間の廊下を半屋外テラスとし、教室内の内装と什器にも木材を取り入れた。木材使用量は123・67㎥、炭素固定量は約91t。
所在地は千代田区麹町6地内。東京メトロ丸ノ内線、JR中央線快速など4線の四ツ谷駅から徒歩約5分。基本・実施設計と施工は住友林業、構造設計はKAP一級建築士事務所。2階と3階は社会人向け講座の教室となり、1階にはカフェが入居する。昨年5月に着工していた。供用は今秋から。

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