「衝動的じゃねーから」立てこもり男、女性監禁認める インターホンで警官に「そのうち投降するから」

ビルから出てきた男をブルーシートで囲む捜査員ら=2021年6月18日午後10時48分ごろ、さいたま市大宮区

 昨年6月、埼玉県さいたま市大宮区のインターネットカフェの個室に、20代の女性従業員を人質に立てこもり、けがをさせたとして、逮捕監禁致傷などの罪に問われた住居不定無職の男(41)の裁判員裁判の初公判が6日、さいたま地裁(佐々木一夫裁判長)で開かれた。男は「監禁は合っているが、他は間違っている」として、逮捕監禁致傷罪については認めたものの、他の起訴内容を否認した。

 冒頭陳述で検察側は、男は個室の外の鍵穴に詰め物をし、テレビがつかないように細工したと指摘。トイレ清掃中だった女性従業員に「テレビがつかないからちょっと見てもらってもいいですか」と声をかけ、部屋に招き入れたと説明した。

 その後、テレビの動作確認をしていた女性従業員に対し、男が首に手を回して引き倒し、結束バンドで縛るなどしてけがを負わせたなどとし、「犯行態様は悪質で、動機に酌むべき事情はない」と述べた。

 証拠調べでは、県警が60回にわたり、個室のインターホンを通じて男と接触していたと説明。検察は接触の内容を読み上げ、「あと30分待って。そのうちこっちから投降するから」「衝動的にやっているわけじゃねーからな」などと男が当時話した内容を述べた。

 起訴状などによると、男は昨年6月17日、さいたま市大宮区のインターネットカフェに結束バンドやカッターナイフなどを所持して来店。同店の女性従業員を個室内に誘い入れ、後方から首に手を回してカッターナイフを突きつけ、同日午後2時23分ごろから約32時間、女性従業員を不法に監禁するなどし、首や顔などに約2週間のけがを負わせたとされる。現場に突入した県警の捜査員が女性を保護した。

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