リハーサルを終えたNASA新型ロケット「SLS」が組立棟に到着。打ち上げ予定は2022年8月下旬以降

【▲ 新型宇宙船「オリオン」を搭載した新型ロケット「SLS」。2022年6月6日撮影(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

半世紀ぶりの有人月面探査に向けた準備が着々と進められています。アメリカ航空宇宙局(NASA)は7月2日付で、新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」初号機のロールバック(射点から組立棟に戻す作業)が完了したと発表しました。

NASAが開発した新型ロケットSLSの初号機は、有人月面探査計画「アルテミス」最初のミッション「アルテミス1」に用いられる機体です。アルテミス1はSLSおよびNASAの新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人飛行試験にあたるミッションで、月周辺を飛行したオリオン宇宙船は打ち上げから4~6週間後に地球へ帰還します。

NASAのケネディ宇宙センター39B射点では米国東部夏時間2022年6月18日から20日にかけて、SLS初号機の打ち上げ前リハーサル「ウェットドレスリハーサル(wet dress rehearsal)」が行われました。リハーサルでは移動式発射台の基部とSLSのコアステージ(第1段)を打ち上げまでつないでいるクイックディスコネクトと呼ばれる部分で水素漏れが確認されたものの、コアステージとICPS(SLSの第2段)には初めて液体水素・液体酸素が完全に充填されており、2022年4月に試みられたリハーサルでは達成できなかった内容も含む打ち上げのタイムラインと手順が確認されました。

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SLS初号機のロケット組立棟(VAB)へのロールバックは米国東部夏時間2022年7月2日4時12分頃に始まり、約10時間後の14時30分頃に終了しました。ロケット組立棟では水素漏れが確認されたクイックディスコネクトのシールを交換するとともに、リハーサル中に使用されたセンサーの取り外しや最終チェックなどが行われます。準備が整ったSLS初号機は再び39B射点に向けてロールアウト(組立棟から射点への移動作業)が行われ、早ければ2022年8月下旬にも打ち上げられる予定です。

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  • Image Credit: NASA/Ben Smegelsky
  • NASA \- NASA’s Moon Rocket and Spacecraft Arrive at Vehicle Assembly Building

文/松村武宏

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