厳しい暑さが続く中、福井県内の教育現場や高齢者施設は熱中症対策に腐心している。小学校では外遊びを禁止したり、下校時に傘を差すよう呼びかけたりしている一方、国が促す「脱マスク」の難しさを訴える声も聞かれる。
県教委によると、小中学校はそれぞれの判断で、昼休みの外遊びを禁止したり、部活動の時間を短縮したり、練習メニューを変えたりしている。屋外で予定していた体育の授業を屋内に変更する学校もあるという。
福井市清明小学校では梅雨明け前から、児童に「傘差し下校」を呼びかけている。菅野博校長は「炎天下、30分かけて登下校する児童もいる。背が低い子どもはアスファルトからの照り返しの影響も大きい」と話す。
同市東藤島小学校では校外学習時の体調不良に備え、教員がミストスプレーや保冷剤を持ち歩く。児童も冷却タオルを首に巻き、小まめに水分補給する。
国は熱中症対策で、体育の授業や運動部の活動、登下校時はマスクを外すよう促す。同市内の小学校校長は「マスク着用が習慣化し、外すことが『悪いこと』と思い込んでいる児童もいる」と、“脱マスク”は簡単には進まないと訴える。
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福井新聞の調査報道「ふくい特報班(通称・ふく特)」には、「授業中の水分補給に関する学校のルールを知りたい」との意見が寄せられた。県義務教育課は「授業中でも適切な場面で水分を取らせるよう周知している」としている。
高齢者施設も神経をとがらせる。県内の特別養護老人ホームの担当者は「連日の猛暑で脱水によって体調を崩す利用者が多い」と明かす。夜は冷却枕などで体温調整に努めているが、暑さで食欲が落ちる人も多いという。担当者は「お年寄りは熱中症や脱水の自覚症状がなく、注意深い観察が必要で看護師との連携が不可欠」と話す。
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高齢者は暑さを感じにくく、エアコンを付けていなかったり、トイレに行く回数を減らすため水分を十分に取らなかったりする。福井市の有料老人ホーム「あんしん村」では、猛暑を受けたケアマネジャーの依頼などで1人暮らしの高齢者の短期入所が増えている。担当者は「脱水から肺炎につながり入院となるケースもあり、気を配る必要がある」と指摘する。