川崎・多摩川スピードウェイ遺構 観客席の一部保存

多摩川の堤防に保存された多摩川スピードウェイの観客席の一部=川崎市中原区上丸子天神町

 川崎市中原区の多摩川河川敷に開設された日本初の常設サーキット「多摩川スピードウェイ」の遺構の取り壊しを含む堤防強化工事が完了し、観客席の一部が保存された。市民団体の要望で実現し、1936年にオープンしたアジア初の常設サーキットの歴史的意義を現代に伝える資料として活用が模索されている。

 同サーキットは、1周1.2キロの楕円(だえん)形で、堤防のり面にコンクリート製観客席(縦約8メートル、幅約370メートル)が設けられた。38年まで自動車レース「全日本自動車競走大会」が開かれ、ホンダ創業者の本田宗一郎ら自動車産業の発展に貢献した関係者が当時、ドライバーとして参戦したという。

 現在は河川敷のコース跡にサッカー場や野球場が整備され、観客席は当時のまま残っていた。2019年の台風19号(東日本台風)による周辺地域の浸水被害を受け、国土交通省京浜河川事務所はこの場所で堤防強化工事を決定した。

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