核禁条約採択から5年 廃絶へ日本批准を 被爆者らが長崎で集会

核兵器禁止条約の国連採択5年を記念した集いで、日本政府の条約批准などを求めるスピーチをした被爆者ら=長崎市、平和公園

 核兵器禁止条約の国連採択から5年となった7日、長崎の被爆者4団体などでつくる「核兵器禁止条約の会・長崎」は長崎市松山町の平和公園で、日本政府に条約批准を求める集会を開いた。参加した被爆者らはオーストリアで先月初めて開催された締約国会議の内容を歓迎し、「核なき世界」を目指して市民らと活動を続ける決意を新たにした。
 参加した約50人を前に、共同代表4人がスピーチ。長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)事務局長の柿田富美枝さん(68)は、締約国会議で採択された「ウィーン宣言」が核被害者支援の必要性を明記したことに触れ「日本には被爆者運動の結果、いろいろな援護施策がある。世界の参考として、日本政府は次の締約国会議に参加を」と訴えた。
 長崎被災協会長の田中重光さん(81)も「私たちは(ウィーン宣言の)文書を学び、核兵器をなくすため行動する」と決意。県平和運動センター被爆連議長の川野浩一さん(82)は、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し核危機が高まる現状を嘆き「再び(核使用が)起こらない世界をつくるため答えを探さなければ」と危機感を語った。
 同条約は2017年7月7日に122カ国・地域の賛成で採択され、昨年1月に発効。米国の核の傘に入る日本は条約に距離を置く一方、米欧の「核の同盟」北大西洋条約機構(NATO)に加盟するドイツなどは締約国会議にオブザーバー参加した。長崎原爆遺族会の本田魂会長(78)は「(被爆国だが参加しない)日本は世界からどう見られるのか」と批判。被爆者の平均年齢が84歳を超える中で「われわれ被爆1世には後がない。核兵器廃絶を一人一人が世界に向かって叫ばなければ」と述べた。

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