都市対抗野球18日から開幕 ロキテクノ富山在籍 プロ注目の上越出身2投手

 社会人の第93回都市対抗野球大会が18日から東京ドームで開幕する。北信越地区から初出場するのがロキテクノ富山(富山県上市町)。その投手陣を3年目のエース、飯塚(いいつか)亜希彦(24、上越高―新潟医療福祉大出)と4年目のチーム主将、齋藤央兆(ひろき、26、糸魚川白嶺高―新潟医療福祉大出)が引っ張っている。大学から一緒のチームでプレーする一学年違いの後輩・先輩で、共にプロ注目の右腕。20日の1回戦でJFE西日本(福山市・倉敷市)と対戦、全国クラスの大会を初めて経験する。

ロキテクノ富山の齋藤(左)と飯塚の上越出身両右腕(富山市民球場アルペンスタジアム)

◇飯塚亜希彦 切れ鋭い先発投手
 飯塚投手は北信越2次予選で本領を発揮した。1回戦のバイタルネット(新潟)戦で勝利投手となり、圧巻は決勝の千曲川硬式野球クラブ(長野)戦。3連投ながら、毎回の13三振を奪い1安打完封。「アドレナリンが出た。過去一番良い投球」で、チームにとっても都市対抗初出場をたぐり寄せた。

 初の全国大会、初の東京ドームのマウンド。「どんな雰囲気、マウンドなのか想像しきれない」。小さい頃に観戦に行って以来という東京ドームのマウンドに思いをはせる。

 右スリークオーターから最速150キロの直球にカーブ、スライダー、カットボール、決め球のフォークなど6種類の変化球を制球良く操る。球の回転数が多く、切れが鋭い。足を高く上げる躍動感あふれるフォームで、「投げっぷりの良さもセールスポイント」。プロ球団が注目しており、「全国で見てもらえるチャンス。最大限自分のパフォーマンスを発揮したい」と意気込む。

ブルペンで投げ込む飯塚投手

 上越の市民や関係者には「上越からも(西武の)滝澤(夏央)君が活躍している。上越を盛り上げる意味でも自分も都市対抗で優勝したい。小中・高校生に自分のピッチングを見てもらいたい。お世話になった方々に恩返ししたい」と話す。

 先輩の齋藤の存在は「大学の時から今も変わらず、お兄ちゃん的存在。コミュニケーションが取りやすく、この人がいるから心強い」と頼りにしている。

 頸城区の大瀁小1年から頸城スポーツ少年団で野球を始める。頸城中で遊撃手兼投手。上越高では1年秋からエース、3年春にベスト4進出。新潟医療福祉大ではリーグ戦通算39試合に登板し7勝、4年最後の秋季リーグで4勝。181センチ、85キロ。右投げ右打ち。

◇齋藤央兆 球威で押す中継ぎ
 齋藤投手は右上手から最速153キロの直球と決め球のチェンジアップ、スライダーで三振を取る。球威にはプロも注目する。北信越2次予選ではバイタルネット戦で飯塚の後を継ぎ、1回1/3を無安打無失点。勝利を呼び込んだ。現在、投手最年長で、チームの主将を務める。

 左手を大きく掲げてから投げ下ろす独特のフォーム。自身の力を出すために、行き着いたという。昨年までは抑えだったが、現在は中継ぎやセットアッパーに回り、粘り強い投球を見せる。

 都市対抗野球は自身、初の全国舞台。「やっとだな」と率直に語り、「守備で粘り強くリズムをつくっていきたい。初出場で失うものはない。一戦必勝でいきたい」と話す。

マウンドでフィールディング練習の齋藤投手

 地元の糸魚川の人たちに向け「諦めずに続けていけば、好きなことをやり続ければ、いつか思いはかなう。糸魚川にいいニュースを届け、喜んでもらえれば」と話す。中高の後輩で昨季限りでプロを引退した綱島龍生さん(22)には「母校を自分の後に盛り上げてくれた」とねぎらいの言葉を贈る。

 飯塚の存在は「アキは大学から頼りにしている投手で、今も頼っている。大学の時はあまり支えられなかったので、今は負担を減らしてあげたい」と思いやっている。

 糸魚川市立大野小3年から姫川バスターズで野球を始める。小5から投手となり、糸魚川中では内野手兼投手。糸魚川白嶺高で1年夏からエース、3年春にベスト8。新潟医療福祉大ではリーグ戦通算10試合に救援登板。184センチ、90キロ。右投げ右打ち。

◇藤田太陽監督 両右腕に期待と信頼
 阪神などで投手で活躍した藤田太陽監督(42)はエース飯塚について「3年目を迎え社会人のピッチャーらしく、大人の投球ができるようになった。スピン量の多い真っすぐとコントロールがいい。チャレンジャーなので構えずに、彼らしく思い切りいってくれれば」と期待する。

 齋藤についても「セットアッパー、中継ぎの柱として大事なところで起用があると思う。パワーのある真っすぐと落差の大きいチェンジアップ系をいいカウントで投げられるように。キャプテンとしてチームを引っ張ってくれている」と信頼を置いている。

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