年間600万トンの食品ロス、若者の選挙関心アップの方法…聞いてみた 福井の参院選候補者に直撃インタビュー(下)

福井県立勝山高校×参院選候補者

 「自分ごと」に感じる社会課題の解決策を考える探究学習に福井新聞と連携して取り組んだ福井県立勝山高校1年生が、参院選公示前に福井選挙区の4候補に、特に関心が高かった4項目をぶつけた。立候補表明が公示直前となった2候補には、高校生たちの問題意識に対する意見を聞いた。

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山田和雄氏「消費者意識が高まれば企業を変える」

 中瀬さくさん(勝山高校1年生) 私たちは、日本で年間500万~600万トンに上る食品ロスを減らすため、ポップ(店頭広告)を活用して削減を訴える政策を考えました。

 山田 とても良い視点。みんなは、書店員の思いがこもったポップを見て本を買ったことあるよね。啓発効果は大きい。店舗側の食品ロス削減の意識も変わるんじゃないか。コンビニでは、消費期限が迫る食品の値引き販売が可能になった。消費者の意識が高まれば、企業側もそれに合わせて努力していく。

 西山朔太郎さん(勝山高校1年生) この前、形が悪いとか少し傷んでるとかで安売りされていたイチゴを親が買ってきた。めちゃくちゃおいしかった。こういう食品ってたくさん捨てられているらしい。

 山田 規格外の農産物にも同じように農家の手間がかけられている。安く買ってもらう仕組みは広げていくべきだ。

 岸本詩音さん(勝山高校1年生) 福井は自然豊かで、住む環境としてはとても良い。だけど開発も必要ですよね。福井をどんなまちにしたいですか。

 山田 環境と開発はともに大事なテーマ。県内には全国最多の15基の原発がある。いったん事故を起こすと自然環境は大きなダメージを受ける。原発をなくし、太陽光や風力など自然の力を生かした再生可能エネルギーを推進すべきだ。地元企業が運営することで、地域に新たな仕事も生まれる。

 中村澪さん(勝山高校1年生) 私は福井の豊かな自然が好き。環境を産業や観光に生かせればいいな。

 西山 勝山ではリゾート開発や恐竜博物館のリニューアルが計画されていると聞きました。楽しみだけど、観光客が増えることでごみが増えたり、自然環境に影響したりしないかな。

 中瀬 環境を守るために私たち高校生でもできることはあると思う。

 山田 高校生に注意を促されたら、観光客の皆さんは本当に気を付けるはずだよ。環境や政治のことに、これからも関心を持ち続けてください。

ダニエル益資氏「若者が政治家を志す社会に」

 ―政治や選挙に対する関心を高めるため、勝山高校1年生が取り組んだ身近な社会課題の解決策を考える授業の印象は?

 選管が行うものも含め、投票の大切さを訴える授業が最近増えていると感じるが、被選挙権の重要性を訴える視点が欠けている。若者に「選挙に行け」と言うだけではだめ。将来、政治家になりたいと思う若者が多くいる社会にしていかないといけない。

 ―そのためにはどうしたらいいか。

 立候補するには、会社を辞めないといけない風潮が問題。企業などに勤めている20代、30代の人が議員を目指す場合、当選したら4年間休職し、落選したら復帰できるようなキャリアパス制度を導入すべきだ。

 立候補にそれほどお金がかからないと伝えることも大事。市町議の選挙だったら若者でも挑戦できる。今はSNSを使って訴えをアピールすることも可能。若者の挑戦を大人たちが励まし、若い世代の候補者が増えることが投票率向上に一番必要なことだろう。

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