ポルシェの次世代911 GT3 Rをチーム・プロジェクト1が発注。2台体制で2024年WECに参戦へ

 先日、ポルシェが公式写真を初めて公開した、2023年のデビューに向け開発中のタイプ992型ポルシェ911 GT3 R。この次世代GT3マシン2台を、現在WEC世界耐久選手権に参戦中のチーム・プロジェクト1が発注したことが分かった。

 チーム・プロジェクト1は現在、WECのLMGTEアマカテゴリーにおいて、2台の911 RSR-19を走らせている。チーム代表のアクセル・ファンケは、2台の次世代GT3車両を発注したことを明かし、現時点では2022年12月に納車される予定であると語った。

 WECのGTカテゴリーにおいては、2022年限りでLMGTEプロクラスが終了。2023年はLMGTEアマクラスのみが存続し、その後2024年にはGT3車両をベースとし、“プレミアム”ボディキットを装着する新たなカテゴリーへと生まれ変わる予定となっている。

 プロジェクト1は2018/19シーズンのWECにRSRを投入した後、2019/20シーズンには2台体制へと拡大していた。

 彼らは2024年のWECの新GTカテゴリーに2台の新型911 GT3 Rを参戦させるつもりだが、それを前にした2023年はGT3車両について学ぶ計画を立てているという。同時に、2023年はRSRでのLMGTEアマクラスへの参戦も継続する予定だ。

「ある時点で、将来何をするかについて決断しなければならない」とファンケは述べている。

「来年はLMGTEアマのみとなるが、これは我々にとって良いことだ。1シーズンだけだが、カスタマーチームもGTの総合優勝を狙うという技が見せられる」

「そしてその後、2024年には2台の(新しい)マシンでシリーズに戻ってきたいと考えている。これはチームにとって最高のシナリオだ」

「ロジスティクスの面でも、同じ機材を維持したまま、マシンをGTEからGT3に変更するだけだ。私の理解では、ツールボックスはそのまま使える。いくつかの特殊な工具を交換するだけだ」

「GT3 Rのスペアパーツへと入れ替えれば、もう出発できる。マシンの選択という面では、GT3では(GTEよりもマニュファクチャラーの)幅が増えることになる。だが、我々は30年、ポルシェでレースしてきたからね」

スパ・フランコルシャンでテストを行う992型ポルシェ911 GT3 R

 プロジェクト1が来年、いずれかのGT3シリーズにフル参戦するかどうかは不明だ。ファンケは「まずはマシンを受け取ってから、計画を決めたい」と語っている。

 現在プロジェクト1は2台のポルシェをWECで走らせている一方で、スポーツカーレースの他のピラミッドにおいて、BMWのマシンのオペレーションに深く関わっている。

 DTMトロフィーには2台のBMW M4 GT4を走らせており、DTMのイベントパッケージの中ではBMW M2 カップに公式テクニカル・サポートを供給している。

 ファンケはGT3へと参入することにより、プロジェクト1のさまざまなモータースポーツ活動において、より明確なステップアップのラインが生まれることを期待する。

「M2カップでは、ポテンシャルのあるドライバーと一緒にやっていきたいし、そうなるとGT3が唯一の合理的なステップとなる」とファンケ。

「このプラットフォームにこだわることが、我々にとって意味のあることだからだ」

 プロジェクト1がBMW M4 GT3を購入し、同ブランドの他のレースプログラムを補完することを検討するかと尋ねられたファンケは、こう答えている。

「さまざまなシナリオを描くことはできる。これはカスタマー・スポーツだから、どんなことだって可能だ」

「もしふたつのマニュファクチャラー(のマシン)を手にしている場合、BoP(性能調整)でいずれのマシンも影響を受けることは非常に少ないと言える。だから、常に1車種は前で戦える」

「それも意味のあることかもしれないね。我々は多くの決断、そして議論を重ねていかなければならない」

DTMと併催されるDTMトロフィーに、2台のBMW M4 GT4を送り込んでいるチーム・プロジェクト1

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