いま米国高利回りETFに注目すべき理由と代表的な3銘柄を紹介ーー利回り4%超えも

インフレ加速、金融引き締め、ウクライナ危機、景気後退懸念、コロナという先行き不安の中で、どう投資先を選ぶべきか頭を悩ませている方もいらっしゃると思います。

そんななか、比較的高い利回りの収入を狙いたい=インカムゲインを得られる投資対象を検討するなら、株式を持っているだけで高い利益が得られる「高配当株」が候補に挙がることでしょう。しかし、個別銘柄を選ぶのはハードルが高い、決算など見るべきものも多い、銘柄によっては投資資金が足りない……と躊躇するのであれば、高配当株に分散投資できる上場投資信託(ETF)から始めてみてはいかがでしょうか?


ETFを選ぶときは商品内容に注目

流動性、利回り、運用コストを考えるべきですが、その点も踏まえて、高利回り銘柄に、分散投資できるような高配当ETFを今回は紹介します。

高配当のETFは、今ならアメリカのETFを個人的にはおすすめします。上半期に米市場が下落したことにより、コスト面でメリットがあるためです。ただ、米国株はハードルが高い……という方のために、高配当御三家といえるアメリカのETF3銘柄に加えて、日本の高配当ETFもご紹介します。

(1)VYM

VYM:バンガード・ハイディビデンド・イールドETF(Vanguard High Dividend Yield ETF)は、米国の大型株を中心に予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されるFTSEハイデ ィビデンド・イールド指数に連動する投資成果を目的とするETFです。

予想配当利回りが市場平均を上回る、つまり配当利回りの高い銘柄約400銘柄に分散投資できて、銘柄数も多いため分散投資の効果が期待出来るところが利点だと言えます。金融や生活必需品、ヘルスケアなどが組み入れられている銘柄では上位セクターとなっています。景気に左右されにくく、株価や需要が安定しているセクターが中心というのも安心感があり、今後も安定配当が見込めるでしょう。

年間の保有コストである経費率も高配当ETFの中では最も低い水準で0.06%となっています。また、VYMの直近配当利回りは3.34%と、VYMが目処にしている利回りの3%を超えてきているのも魅力です。

(2)HDV

HDV:iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF(iShares Core High Dividend ETF)は、iシェアーズコア米国高配当株ETFで、モーニングスター配当フォーカス指数に連動した投資成果を目指すETFです。

米国のモーニングスター社が選んだ高配当で財務健全性が高い銘柄が集まっているのが特徴です。わりと保守的なイメージで、景気後退局面でも底堅さが期待できそうかなと思います。

組入れ上位銘柄はエクソンモービルやシェブロン、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどエネルギーや生活必需品、ヘルスケアなどのセクターの割合が多いですね。直近配当利回りは2.28%、経費率は0.08%で、安定感があって手数料が安いことが魅力なのですが、利回りは他の2つのETFと比べるとやや見劣りします。

(3)SPYD

SPYD:SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPDR Portfolio S&P 500 High)は、S&P500高配当指数をベンチマークしており、S&P指数構成銘柄の中で配当利回りが高い80銘柄に投資できる ETFとなっています。配当利回りが高く、手数料が安いことが魅力のETFといえますね。

直近の配当利回りは4.09%、経費率は0.07%です。組み入れ比率はバレロ・エナジー、エクソンモービル、マラソン・ペトロリアムなどそのほかコンソリデーテッド・エジソン、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、アッヴィなどエネルギー会社が上位に多く、公共事業や金融、生活必需品、不動産、ヘルスケア関連銘柄などが組み込まれています。

3銘柄それぞれまとめると、

(1)VYMは多くの銘柄に投資していて、分散投資効果と安定配当が特徴
(2)HDVは財務健全性が高い銘柄に投資できる
(3)SPYDは高い配当利回りが特徴

というところでしょうか。

日本株の高配当ETFも

日経平均株価の構成銘柄の中から高配当株に投資できるNEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)、通称「NF・日経高配当50ETF」を紹介します。日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成される配当利回りウェート方式の株価指数である日経平均高配当株50指数との連動を目指すETFです。

組み入れセクターは銀行、卸売、情報・通信、電気、保険などで2022年3月末時点の組入れ上位5銘柄は、日本郵船(9101)、三菱商事(8058)、INPEX(1605)、東京海上ホールディングス(8766)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)となっており、分配金利回りは7月06日時点で4.41%と高配当御三家を上回る利回り。なお、信託報酬は0.308%と米国ETFと比較するとかなり高めなことがわかります。

足元の値動きは?

米国と同様、国内でも足元の不安定な相場では高配当株が強くなっています。

TradingViewより

2021年からのチャートを見ると、NF・日経高配当50ETF(紫の線)が相対的に一番強いことがわかります。これはもちろん期間や比較対象にもよりますが、日本の高配当株50ETFと米国株を併せて持つなど、ポートフォリオを組む上で選択肢となり得ると感じました。

ちなみに今回ご紹介したETFは人気のある有名なものばかりなので流動性も問題ないと考えます。最後にVYMの約10年のチャートを見ていきましょう。

TradingViewより

チャートを見ると長期的に「下げたら買って持っておく」もしくは「定額ずつ買う」という投資法も優位性がありそうです。私自身は、配当も再投資していくやり方が良いと考えます。皆さんの投資生活の参考になれば幸いです。

7月4日週「相場の値動き」おさらい

パウエル議長がインフレ対策、物価安定のために積極的な利上げの継続の意向を示して いるなかで、6月のFOMC議事要旨は思ったほどタカ派的な内容ではなかったことから買い安心感に繋がりました。

米市場では米長期金利の低下を受け、利回り曲線(イールドカーブ)で10年債が2年債を下回る逆イールドが再び発生しました。原油価格もですが、小麦価格はチャートを見ると足元で大きく下落しています。

TradingViewより

コモディティ全体を表すCRB商品先物総合指数も下げていることは押さえておきましょう。

TradingViewより

7月8日(金)の日経平均株価は、前日比26円66銭高の2万6,517円19銭、7月1日(金)の日経平均株価終値は2万5,935円62銭でしたので、週間では581円57銭の上昇となりました。

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