桜田ひより、“完璧”ヒロイン役には「うれしさよりもびっくりした気持ちが大きかった」――「彼女、お借りします」インタビュー

ダメダメながら真っすぐな優しさを持つ主人公が、ひょんなことからレンタル彼女を発注したことで、元カノをはじめさまざまな女性を巻き込んで恋模様を展開する、テレビ朝日ほかで放送の連続ドラマ「彼女、お借りします」。原作は世界累計発行部数1000万部を突破し(2021年12月現在)、2020年にはアニメ化、さらに現在はアニメの第2期を放送しています。

主人公・木ノ下和也を演じるのはなにわ男子の大西流星さん。「夢中さ、キミに。」(MBS)、「鹿楓堂よついろ日和」(テレビ朝日系)などの作品に出演してきた大西さんが、本作で“ダメダメな大学生”という新たな役を演じ、第1話では彼女にフラれた反動から生まれた和也の妄想シーンにも「りゅちぇ、演技の幅が広いなぁ」「表情豊かな和也くんよかった!」と話題を集めました。

そんな和也がヤケクソになって発注した、本作に欠かせないレンタル彼女・水原千鶴。仕事に誇りを持ち、男性なら誰もが憧れてしまうであろう“理想の彼女”として振る舞う千鶴を、ドラマでは桜田ひよりさんが演じています。以前から原作のファンだったという桜田さんが思う「かのかり」こと「彼女、お借りします」の魅力とは? そして千鶴を演じる上で考えたこととは? ここでは、撮影直後に敢行した桜田さんのインタビューをお届けします。

――撮影お疲れさまでした! 外から見ていても皆さんの雰囲気がすごくいいなと感じたのですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

「本当に毎日和気あいあいと楽しく撮影していて! 『こんなに明るい現場はないだろう!』っていうくらい、スタッフさんも含めみんなで盛り上がって楽しんでいた感じがありますね」

――ドラマ出演が解禁された際に「大西さんが盛り上げてくださっている」とコメントされていましたが、座長としての大西さんの存在は大きかったですか?

「大きかったですね。大西さんが盛り上げてくれるからこそ一致団結しているし、どれだけ眠くてもどれだけ大変でも『頑張ろう!』となっていたのは、大西さんのおかげだなと思っています。絶対に負担はすごく大きいはずだから、縁の下の力持ちじゃないですけど、私も少しでも支えていけたらいいなという心持ちはありました」

――今回、千鶴を演じるにあたってエクステをつけたりして印象がガラッと変わったと思うのですが、役作りでほかにこだわった点を教えてください。

「『男の人がキュンとするように』っていうのを常に意識していました。女性から見てキュンとするポイントはもちろんあるんですけど、やっぱり和也のような男性目線から千鶴を見た時に、キュンとするポイントを1シーンの中でそれぞれ一つずつ作るようにしていました」

――原作を読んでいても、千鶴はどこを切り取っても抜け目がないというか、本当に完璧な女性だなと思います。演じる上でプレッシャーなどはありましたか?

「もちろんありました。原作がすごく有名な作品で、その中でも千鶴ちゃんのことが好きって言っている方がすごく多かったので、私自身も漫画やアニメが好きな分、もともと原作ファンの方の気持ちも分かるんです。なので、どうやって(原作とドラマの)間をいったらいいかなと考えるのが今回の作品の中で一番大変だったというか、プレッシャーとまではいかないですけど、意識していた部分ではありましたね」

――撮影していて印象的だったシーンを教えてください。

「レンカノ(レンタル彼女)として(和也と)2回目に会った後、たまたまアパートで偶然再会するシーンは印象的です。それまで結構完璧なレンカノとして和也と会っていた分、大学ではひっそりと目立たないようにしている千鶴にとっては、一番見られたくない部分を見られた瞬間だったので、すごく印象に残っています」

――原作でもあのシーンから物語が動き始めますよね。そこで垣間見える“素の部分”というのは、完璧な千鶴にとってはある意味“弱点”なのかなと思うのですが…。

「そうですね…千鶴が仕事をしている中で一番見られたくないというか、普段だったら友達とかと一緒にいて(素を)出せるんですけど、自分が完璧な姿で会っている人にあの状態を見られるっていうのは結構恥ずかしいですし、怖い部分でもあります」

――桜田さんも原作のファンとのことですが、原作や作品の面白さ、魅力はどんなところにあると思いますか?

「千鶴もそうですけど、和也の表情が本当にコロコロ変わる。そういうところは原作を読んでいてもクスッと笑えるシーンもあって、すごく印象的に残っていますね」

――和也とのシーンが多いですが、秋田汐梨さんや工藤美桜さん、沢口愛華さんらほかのヒロインとの掛け合いも見どころなのかなと思います。

「千鶴としても、和也以外の女性からもらうボールは変化球が多くて、彼女自身もたぶん今まで出会ったことのない人に触れている気がするんです。七海麻美(秋田)みたいに二面性が垣間見えるところ、更科瑠夏(工藤)みたいに真っすぐな思いのまま、千鶴に対してはちょっと攻撃的なところ、桜沢墨(沢口)みたいに守ってあげたくなるようなところ。墨ちゃんのことでいうと、千鶴は和也に対して初めて“頼る”ということをしたんだと思うんです。どうしてそうしたかというと、やっぱり(墨が)後輩でもあり守ってあげたくなるからで、初めてそういうボールをもらったからこそ、頼れる人は誰だろうと考えて動いた先に和也がいる。そういった変化球を皆さんからもらうのはすごく楽しかったです」

――そう言われると、また別の面白さがありますね。ちなみに、ヒロイン4人で桜田さんが一番好きなキャラクターをお伺いしてもいいですか?

「これはもう、千鶴一択ですね(キッパリ)」

――ブレませんね…! 千鶴を演じることになってうれしさや喜びはあったのでしょうか?

「うれしさよりもびっくりした気持ちの方が大きかったです。いくら考えても、『なんで私なんだろう…』『どうして私にたどり着いたんだろう…』みたいな(笑)。『何で…?』っていう感覚は今でもずっと残っています」

――実は映画「おそ松さん」(22年)で桜田さんが演じたチビ太がすごく印象に残っていて(笑)。本作を含め、最近では振り切った役が増えてきているのかなと思うのですが、ご自身ではどのように感じていますか?

「ありがとうございます!(笑)。どの作品も毎回刺激が強くて、新たな自分に出会えているなという感覚もありますし、だからこそ引き出しがどんどん増えてきている感覚も、すごく楽しめてきているなって思いますね」

――今回の「レンタル彼女」もかなり振り切っていますが、“演じる”という点では「女優」という職業と似ているのかなと思います。共感できる部分はありましたか?

「レンカノの仕事って本当に演技の仕事に似ているというか、『誰かが求めている誰か』を想像されるような人物になるのはほぼ演技の部分と近い感覚があったので、“千鶴”という役を演じているんだけど、その先にある“水原千鶴”という女性を演じるという、2段階の感覚がありましたね」

――レンカノの時の千鶴は“完璧な女性”とおっしゃっていましたが、来年成人を迎える桜田さんにとっての“理想の女性像”を教えてください。

「自分の意見をきちんと持っている女性は格好いいなって思います。でもそれを押し付ける人にはなりたくないなとも思っていて。自分の意見も持ちつつ、相手の意見も含めて情報を集められるような女性になりたいなって思います。私自身、10代でいろんな方と出会って接してきて、“柔軟性”ってすごく大事だなと思っていて。現場が3カ月に1回変わったり、一緒にいる人が常に変わったりするので、そういう柔軟性が自分の長所であるならばそこを極めていきたいなと思っています」

――常に現場が変化する役者の面白さや魅力はどんなところにありますか?

「やっぱりいろんな方に出会えるのが魅力だなと思っています。常に転校しているというか、学校で中学校とか転校先で仲良くなっていろんな人と触れていくみたいな感覚に近いと思います」

――最後に、今後のドラマの見どころを千鶴の魅力と併せて教えてください。

「千鶴は男性の理想像でもあり女性の理想像でもある、本当に完璧な女の子だなって思うんですけど、そこにいつものリズムを唯一狂わせる和也と出会うことで、千鶴自身もどんどん変化していったり、お互いが刺激し合いながら生まれるものがドラマでもたくさん見えてくると思います。そういうところにも注目しつつ、いろんな女性に翻弄(ほんろう)される和也を見て、クスッと笑っていただけたらなと思います」

【プロフィール】

桜田ひより(さくらだ ひより)
2002年12月19日生まれ。千葉県出身。主な出演作にドラマ「明日、ママがいない」(日本テレビ系)、「24 JAPAN」(テレビ朝日系)、「卒業タイムリミット」(NHK)、「神様のえこひいき」(Hulu)、映画「映像研には手を出すな!」(20年)、「おそ松さん」(22年)など。また、雑誌「Seventeen」の専属モデルも務めている。

【番組情報】

ドラマL「彼女、お借りします」
テレビ朝日
土曜 深夜2:30〜3:00
ABCテレビ
日曜 午後11:55〜深夜0:25 ※7月10日は深夜0:25〜0:55

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/蓮尾美智子 メーク/長島由香(MARVEE) 衣裳/菊池奈由佳(東京衣裳)

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