安倍元首相が撃たれ死亡 参院長崎選挙区 候補者に衝撃、抗議の声も

 安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、参院選長崎選挙区の候補者にも衝撃が広がり、予定していた街宣活動を中止する陣営も相次いだ。
 8日午後5時47分、長崎市の選挙事務所で取材に応じていた自民新人の山本啓介候補(47)は、安倍氏の死亡を速報するテレビ画面をじっと見つめた。報道陣を前に「国際社会に頼られる首相だった。一命を取り留め元気に帰ってきてもらえると信じていた分…厳しいですね」と無念さをにじませた。
 選挙中の暴挙について記者から問われると、「怒りしかない」と語気を強めた。この日は午後の遊説や個人演説会を自粛。選挙戦最終日に向けて「(安倍氏の)遺志を引き継ぎ、国民の前に立ちたい」と暴力に屈しない姿勢を示した。
 日本維新の会新人の山田真美候補(50)は、同市中心部を練り歩いていた際に事件の一報が入り、その後の活動を取りやめた。
 共産新人の安江綾子候補(45)は、諫早市の街頭演説で事件に言及し「テロ行為は許すことはできない」と抗議の声を上げた。
 立憲民主新人の白川鮎美候補(42)の陣営は、「与野党関係なく、安倍氏の容体を心配する県民に寄り添う」として午後の街宣活動を中止。党県連の赤木幸仁幹事長は「暴力で言論を封殺することは許されず、民主主義への冒瀆(ぼうとく)」と憤った。一方、候補者や来県した党幹部の安全確保について「警戒を強めないといけない」としつつ、「有権者と触れ合い、意見を吸い上げる必要がある」とジレンマものぞかせた。
 政治団体「参政党」新人の尾方綾子候補(47)は、長崎市内の商店街などでマイクを握るミニスピーチを中止し、通行人や店員ら個々に支持を呼びかける形にとどめた。


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