たばこ?いいえ「ちゃばこ」です ブルーインパルスなどデザイン 粉末の狭山茶「入間市版」を発売

たばこの自動販売機を再利用した「ちゃばこ」の自動販売機=6日午後、埼玉県入間市宮寺

 たばこの箱のようなケースに粉末の狭山茶を入れた入間市版の「ちゃばこ」が完成し、埼玉県入間市宮寺の三井アウトレットパーク入間などで販売が始まった。狭山茶最大の産地である一方、茶業農家の後継者不足に直面する入間で、市内の若手生産者が市や企業と連携し製品化させた。市内外から客が訪れる大規模商業施設で販売することで、新たな需要をつかみたいという。

 ちゃばこは茶の関連商品の製造販売を行うクラフト・ティー(静岡県)が手掛け、所沢駅(所沢市)や本川越駅(川越市)など県内の西武線4駅で、廃棄予定のたばこの自動販売機を再利用し販売されてきた。

 狭山茶の生産量の約5割を担う入間市内では、これまでちゃばこの販売はなかった。

 「入間市版ちゃばこを作れないか」。こう発想したのが、狭山茶製造問屋の池乃屋園(同市西三ツ木)取締役の池谷英樹さん(39)だ。2021年3月、クラフト・ティーにメールを送り、製造化への熱意を伝えた。市内の茶業農家の後継者を課題とする市にも相談し、販売場所などを調整した。

 池谷さんは「後継者不足は入間でも例外ではなく、ここ3、4年だけでも手が入っていない農地が増えた。ちゃばこを耕作放棄地問題の解決にもつなげたい」と話す。

 市内で販売されるちゃばこのパッケージは2種類。高さ10センチ、横5.5センチ、幅2.5センチの紙製の箱に、航空自衛隊入間基地の航空祭などで曲技飛行を披露する「ブルーインパルス」や市のマスコットキャラクター「いるティー」がデザインされている。埼玉産の品種「さやまかおり」を強めに焙煎(ばいせん)した茶を粉末にし、1グラムずつ8本入り(1箱税込み600円)にした。

 6日のセレモニーでは杉島理一郎市長や池谷さんらが出席し、ちゃばこや淡い青色の自動販売機が披露された。三井アウトレットパーク入間の小松利彰所長は「土日曜日は市外から客が訪れる。一人でも多くの人に狭山茶を知ってほしい」と話した。

 ちゃばこは、ほかに市商工観光課や池乃屋園でも販売している。

いるティーやブルーインパルスがデザインされた「ちゃばこ」

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