冠水した道路を泳いで渡り…車内で胸まで水に浸かった高齢男性を救出 沖縄の鉄筋工事業6人に感謝状

 【糸満】5月31日に沖縄県糸満市阿波根で発生した集中豪雨による車両水没事故で、糸満市消防本部(平田徳明消防長)は6月30日、車内に取り残された男性を救出したとして、現場近くに所在する鉄筋工事業「池間」の池間秀勝社長(56)ら社員6人に表彰状を贈った。

 水没事故は31日正午過ぎに発生。近くに住む80代の男性が運転する車が、冠水した道路に乗り入れ立ち往生した。車の扉や窓は開かず、男性は車内に閉じ込められた。水かさが増す中、男性が閉じ込められているのを池間社長が発見。社長の指示で比嘉成寿さん(28)が泳いで車へ向かい、持っていたバールで後部ガラスを割って、男性を救助した。その後、ほかの社員と一緒にロープを使って男性を安全な場所まで運んだ。

 80代の男性は助け出される直前、胸まで水につかっており、車はその後完全に水没した。

 表彰式で池間社長は「当たり前のことをやっただけ。最初は少し焦ったが、チームワークで男性を助けることができた。今はとにかくほっとしている」と話した。男性を救助した比嘉さんは「最初は怖かったが、助けられて良かった。このようなことは二度と起こってほしくない」と振り返った。

 平田消防長は「皆さんの勇気ある行動によって貴重な生命が救われた。皆さんの勇気とチームワークに敬意を表したい。われわれも消防力の向上に尽力したい」と述べた。

 (吉田健一)

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