悔しい悔しい悔しい 言葉にならない安倍元総理への想い|和田政宗 安倍晋三元総理がお亡くなりになった。いまだに信じられず、とても悔しい。悔し過ぎる。昨晩はほとんど寝られなかった。今でもすぐそこにその笑顔で現れるのではないかと思うぐらい信じられないし、信じたくない。心の整理がつかないのが正直な思いだ――。

昨晩はほとんど寝られなかった……

安倍晋三元総理がお亡くなりになった。
いまだに信じられず、とても悔しい。悔し過ぎる。昨晩はほとんど寝られなかった。

安倍元総理は不世出の大政治家であり、気さくな方であり、プライベートでは笑顔ばかりの本当に優しい方だった。今でもすぐそこにその笑顔で現れるのではないかと思うぐらい信じられないし、信じたくない。心の整理がつかないのが正直な思いだ。

安倍元総理には近しくご指導いただいてきた。そして、昭恵夫人をはじめ家族ぐるみでお付き合いいただき、心から見守ってくれる存在であった。家族ぐるみでご指導いただくきっかけは、東日本大震災の被災地支援に繰り返しお越しになっていた昭恵夫人との親交からだったが、私が次世代の党に所属していた時代からは安倍元総理に直接ご指導いただく機会に恵まれた。首相官邸や国会内のみならず、ご自宅でくつろいだ中でお話しいただくこともあった。

私が無所属・自民党会派を経て、自民党に入党した直後には直接お電話をいただき、「広報副本部長になってください」と入党直後の議員にはあり得ない前代未聞のお話をいただいた。

そして、平成29(2017)年衆院選では選挙広報統括として、安倍総理の近くで様々なことを学ばせていただいた。今から考えれば、私を育てるためにお側に置いていただいたのだと思う。選挙戦では、安倍総理のメディア出演や政見放送の収録の際は全て同行させていただいた。

さらに、衆院選における安倍自民党総裁出演のCMは、私が総監督をさせていただいた。広告代理店のチームとともに、テレビCM、ラジオCM、ネットCMのコメントは私が全て書いた。

安倍総理に返しきれない大恩

安倍政権が実行を目指すことをいかに有権者に明確に届けるか。

私はCMの冒頭、「豊かで平和な日本を守り抜く」という言葉を安倍総理に言っていただいた。安倍総理からお話を伺い続ける中で、総理の思いはまさにこの言葉にあると思ったからである。

さらに、CMの最後には「ぜひあなたの声を聞かせてください」という言葉を言っていただいた。安倍総理は、丁寧に人のお話をお聞きになる方である。安倍総理とお会いになった方は全ての方がそう感じたと思う。

しかし当時はメディアやネットなどで「安倍総理は人の話を聞かない」との間違った風説が流れており、私は安倍総理の実際の姿をCMでも表したいと、この言葉を安倍総理に言っていただいた。そして、この平成29年の衆院選は、自民党が絶対安定多数を大きく上回る284議席の勝利となった。

選挙戦の最中、テレビ出演の際にメイクをしている時間にはすぐ横で様々な会話をしていただいた。選挙戦におけるSNSやメディアの反応、最近話題になっていることなどを私にお聞きになり、常に世論の動向や国民の真の生活の姿をつかもうとしていた。

また、時折笑顔で冗談も言ってくださり、周りを和ませてくださった。周りの方々が笑顔になると安倍総理もさらに笑顔になり、いつも周りを気遣うとても優しい方であった。

そして、私が2期目の議席をいただいた前回令和元(2019)年の参院選では、安倍総理に返しきれない大恩をいただいた。序盤の世論調査で私が比例代表の当落ラインぎりぎりとの結果を受け、安倍総理とご家族が動いてくださったのである。

選挙戦の終盤に安倍晋三事務所と和田政宗事務所の共催で八重洲で500人の集会を開いてくださり、安倍総理や昭恵夫人のご家族も駆けつけてくださった。さらに、ご家族の方々は、ご友人の方々に「和田さんを応援しているのでよろしく」とお電話までかけてくださったのである。

結果は党内第3位、全体でも第8位の得票をいただき、2期目の当選を果たすことができた。

安倍総理の遺志をしっかりと受け継いでいく

当選後、私の初の政務官就任は、第4次安倍第2次改造内閣であり、新型コロナ対応の中、観光担当の国土交通政務官として「GoToトラベル」の立案と制度設計にもあたらせていただいた。

安倍総理に様々学ばせていただいた中に、各国首脳とのエピソードがある。詳細は控えるが、米国のトランプ大統領とのエピソードは、外交交渉の妙のみならず微笑ましいものばかりで、本当に安倍総理とトランプ大統領は親友関係であったし、安倍総理のお人柄だからこそ心をつかんだのだと思う。

どの首脳からも好かれ、世界のトップリーダーと認識されていたし、安倍総理が提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」は戦後初めて、日本の首相が提唱した外交戦略が世界のスタンダードとなり、各国で用いられる言葉となった。

安倍総理は平成29(2017)年5月3日の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の「第19回 公開憲法フォーラム」で、憲法に自衛隊を明記する憲法改正を訴えた。それまでの憲法改正運動では、緊急事態条項の創設を9条改正の前に行うという流れが主流だった。

しかし安倍総理は、真に国家国民のための憲法改正を優先すべきであると、9条への自衛隊明記を訴えた。実は、9条改正を優先して訴えるということは、この前月にお会いした時に私にお話しくださっていた。憲法を改正していついかなる時も国家国民を守れる日本とする。それが安倍総理の思いであり、その遺志を私はしっかりと受け継いで憲法改正を実現していく。

安倍元総理のご冥福を心から心からお祈りし、安倍元総理が我が国のために実現を目指したことを必ず実現させる。

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和田政宗

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