11時2分… 折り鶴通して平和考える 長崎原爆さく裂の時刻

九州教具グループが配布しているオリジナル折り紙=長崎市大黒町、ホテルクオーレ長崎駅前

 「鶴を折る5分間、11時2分までの5分間、そして黙とうの1分間、一人一人が『これまで』と『これから』に思いをはせるきっかけに」-。ホテル事業などを展開する九州教具グループ(大村市、船橋修一代表)と、長崎市に在住、在勤する若者で新たな企画に挑戦する「ながさき若者会議」の「8.9プロジェクトチーム」(齊藤秀男代表)が今月、折り鶴を通して長崎原爆がさく裂した時刻に平和について考えてもらうコラボレーションを始めた。
 同グループは2006年、宿泊客らに鶴を折ってもらい、8月9日に長崎原爆資料館に献納する「ピース折り鶴プロジェクト」を始めた。「長崎らしい思い出と平和について考えるきっかけづくりに」との狙いで、コロナ禍前まで毎年6千~1万羽が寄せられ、通算で10万羽を超える。
 一方、若者会議は昨年8月下旬、「1945年8月9日午前11時2分、長崎に原爆が投下され、多くの命が奪われた事実を忘れず、平和について考える日に」とプロジェクトを企画。メンバーで会社員の長野大生さん(27)は「県外では投下時刻を知らない人も多いと聞くし、長崎でも日常に追われて忘れてしまうこともある。知らせる方法はないか考えた」と語る。
 ツイッターで毎日午前10時57分に「あと○日と5分」と発信。LINE(ライン)で毎年8月9日午前10時57分に「5分前」をお知らせするアカウントを開設した。
 「8.9 Mokutou Reminder(黙とうリマインダー)」と名付けたLINEアカウントの登録者数は、現在400人余りだが、目標は1万人。達成を目指し連携する企業を探す中で、今年5月に同グループに提案した。
 両者の思いは一致。若者会議のメンバーがデザインしたロゴとLINEアカウントのQRコードをオリジナル折り紙に記載し、同グループが印刷した。8月上旬まで同グループが経営する長崎市と東彼波佐見町内の計4ホテルで配布・回収するほか、同グループと若者会議のホームページからもダウンロードできる。
 同グループの担当者で事業開発部リーダーの内村灯さん(40)は「若い人たちの活動を支援したい。一人一人の力はわずかでも、協力することで平和への思いが広がっていけば」と期待を込めた。

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