7月9日、イタリア北部のモンツァ・サーキットではWEC世界耐久選手権第4戦モンツァ6時間レースの予選が行われた。ポールポジションを奪ったのは、ハイブリッド非搭載のル・マン・ハイパーカー(LMH)、708号車グリッケンハウス007 LMHだった。
■大量のブレーキダストに不安を抱えるグリッケンハウス
ポールポジションは獲得したものの、ロマン・デュマはモンツァでのグリッケンハウスのブレーキ摩耗に「明らかに苦労している」ことを認めている。
2021年のレースではブレーキ交換を余儀なくされたこのサーキットで、708号車は目に見えるほどのブレーキダストをプラクティスセッションで発生させていた。
「確かにみんな、リムから煙が出ているのを見ただろう。僕らがそれを心配していることに間違いはない」とデュマ。
グリッケンハウスにとって第2戦スパに続いて2度目となるポールポジションを獲得したデュマによれば、レース中にブレーキ交換しないことを、チームは目標にしているという。
「僕らはいまあるもので、レースをやり遂げる必要がある。もしスタートで楽な展開となったら、ブレーキがどうなるのか、見てみよう」
なお、デュマ個人にとっては2015年ニュルブルク戦以来のWECでの総合ポールポジションとなった。
■タイヤ申告漏れのグッドイヤーに罰金
LMP2クラスにタイヤを独占供給しているグッドイヤーは、大会前にタイヤのリストを申告しなかったことにより、3万ユーロ(約416万円)の罰金を科せられた。
このうち5000ユーロは直ちに支払う必要があるが、残る2万5000ユーロは、グッドイヤーが違反を繰り返さないことを条件に、取り消される。
ハイパーカークラスのプジョー、トヨタ、グリッケンハウスは、モンツァでミシュランのホットウェザー、およびミディアムコンパウンドを使用する。アルピーヌはソフトホットと、コールドのオプションを手にしている。
■インタークーラーを『替えて、戻した』AFコルセ
スクーデリア・フェラーリに跳ね馬のエンブレムが使用されるようになってから90周年となった土曜日、これを記念して、GTEプロクラスのフェラーリ488GTE Evoには、1932年のスパ24時間レースでアルファロメオ8C 2300に初めて取り付けられたオリジナルのロゴが装着されている。
フリープラクティス2終了後、そのAFコルセ51号車はインタークーラーを交換した。ジェームス・カラドがWECピットレポーターのルイーズ・ベケットに対し語ったところによれば、「基本的にオーバーヒートしているため、温度を下げられるかどうか確認するめ」の交換だったという。
だが、新しいインタークーラーには水漏れが生じていることが判明し、次のセッションが始まる前にまでに、元のインタークーラーへと戻されている。
その後、夕方に行われた予選では、アレッサンドロ・ピエール・グイディのドライブにより、51号車はクラスポールを獲得した。
GTEプロクラスでは、FP3でポルシェGTチーム92号車ポルシェ911 RSR-19が、燃圧の問題に見舞われた。ポルシェの広報担当者によれば、ドライブしていたケビン・エストーレは、予備の燃料ポンプへと切り替えて問題なくセッションを終え、予選に臨んだという。
■WEC富士でのプジョーのドライバーラインアップ
プジョーは第5戦富士6時間レースと、第6戦バーレーン8時間レースにおいても、現在と同じドライバーラインアップと2台の組み分けを維持することが決まっている、とステランティス・モータースポーツ・ディレクターの、ジャン・マルク・フィノーは語っている。
「それが計画だ。どんなことでも起こる可能性はあるが、当面のところはそうする予定だ」
なお、モンツァで走るプジョー9X8は、2台ともに“新車”である。プジョーは現在、5台の9X8を保持しているとみられ、1台はクラッシュテスト用、1台はホモロゲーション用で、さらに1台のテストカー、そして2台のレースカーが存在しているようだ。
レースカーとして用いられている2台は、先週、フランスのマニ・クールでシェイクダウンされたばかりのものだという。
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今回のモンツァでは、いかなるサポートレースも併催されていない。WECにおいては、これは昨シーズンのバーレーン6時間レース以来のこととなる。
日曜日の決勝レースは現地時間正午(日本時間19時)にスタートが切られる予定となっている。