[参議院選挙]小林一大氏が初当選、4選目指した森裕子氏届かず 新潟選挙区、自民・改選1議席になって以降初の議席

 改選1議席を巡り、野党の死守か与党の奪還かで全国屈指の激しい競り合いを見せた参院選新潟選挙区は、自民党新人の小林一大(かずひろ)氏(49)=公明推薦=が約52万票を獲得し、立憲民主党現職で4選を目指した森裕子氏(66)=社民推薦=に約7万票差を付けて初当選した。自民は県議と国会議員、各種団体が総力戦を展開。岸田文雄首相(自民総裁)が新潟市で最後の訴えに臨む異例の対応を取り、悲願を成し遂げた。森陣営は野党勢力による選挙態勢の構築に時間がかかり、出だしの遅れを取り戻せなかった。

 自民は新潟選挙区が改選1人区になった2016年以降、初めての勝利となった。野党に独占されていた2議席のうち1議席を奪還した。

 当選した前県議の小林氏は、党公認候補となった約1年前から活動を開始。県議らと地道に支援者回りを続け、足元の支持基盤を固めた。知名度不足を克服しようと、交流サイト(SNS)で頻繁に発信した。

 自民は5月に行われた知事選と参院選を連動。知事選で支援した現職花角英世氏が圧倒的な得票数で再選を果たした勢いを参院選に持ち込むことに成功した。

 選挙戦では、新潟県内各地に張り巡らせた自民組織がフル回転。岸田首相や茂木敏充幹事長が2度にわたり本県入りするなど党幹部が連日本県入りし、てこ入れを図った。

 小林氏は森氏に大票田の新潟市で約2万票リード。長岡市で約2千票差、上越市で約200票差まで迫られたが、加茂市を除く全ての市で上回った。新潟日報社の出口調査によると、自民が弱いとされる無党派層の4割弱から票を得た。

 森氏は「岸田インフレ」から国民を守ると唱え、消費税減税などの物価高対策を重点的に訴えた。県内最大の労働団体・連合新潟を核に、共産、社民両党が支えた。

 ただ、野党勢力は知事選で連合新潟が花角氏を支持したのに対し、森氏ら立民国会議員や共産、社民は新人候補を応援。足並みが乱れたまま参院選に突入し、終盤まで響いた。

 選挙戦最終盤には安倍晋三元首相が銃撃され死去した事件を受け、小林、森両陣営とも選挙活動を自粛するなど影響があった。

 政治団体「参政党」の諸派新人、遠藤弘樹氏(42)、NHK党新人の越智(おち)寛之氏(48)は浸透しなかった。

◇参院選新潟選挙区開票結果(選管最終)

当 517,581 小林 一大 49 自新(1)

  448,651 森  裕子 66 立現

    32,500 遠藤 弘樹 42 諸新

    17,098 越智 寛之 48 N新

当日有権者数1,866,525▽投票者数1,032,469

▽投票率55.32%▽無効16,627▽持ち帰り・その他12

(かっこ内の数字は当選回数)

【小林一大氏略歴】党県連政務調査会長、普談寺副住職(県議4期、東京海上日動火災保険社員)新潟市秋葉区。東大卒。

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