上野氏、手堅く3選 野党5候補伸びず 参院選栃木選挙区

当選が確実となり、支持者とグータッチする上野通子氏(左)=10日午後8時40分、宇都宮市陽西町

 第26回参院選は10日投開票され、改選1人区となった2007年以降最多の6人で争われた栃木選挙区は、自民党現職の上野通子(うえのみちこ)氏(64)=公明推薦=が41万4456票を獲得して3選を果たした。次点の立憲民主党新人の板倉京(いたくらみやこ)氏(55)に28万6828票差をつける圧勝だった。栃木選挙区の投票率は46.98%。前回の44.14%を2.84ポイント上回ったが、過去3番目の低さとなった。

 栃木選挙区は全体の勝敗を左右する32の1人区の一つ。自民現職に野党統一候補が挑む構図となった16年、19年参院選と違い、今回は野党候補が乱立。物価高対策や外交・安全保障政策、憲法改正などが争点となる中、有権者は岸田政権の継続を選んだ形となった。

 自民は10年の参院選から栃木選挙区で5連勝となり、非改選議席を合わせた2議席独占を維持した。

 選挙戦で上野氏は文部科学副大臣などを務めた2期12年の実績、ライフワークとする教育や子育て政策のさらなる充実を訴えた。

 200近い推薦団体の支援に加え、党国会議員や県議、福田富一(ふくだとみかず)知事、首長らの全面的な後押しを受けて盤石な組織戦を展開。野党が乱立し政権批判票が割れる構図に「緩み」を警戒する声もあったが、陣営幹部が引き締めを図り、独走態勢を維持した。得票率は56.24%と他を圧倒した。

 板倉氏は県内最大の労働者組織「連合栃木」の支援を受けて選挙戦に臨んだ。税理士の視点から「税金の不平等是正」を訴えたが、落下傘候補で立候補表明が4月と出遅れたことも響き、得票は伸びなかった。同じく連合を支持母体とする国民民主党県連との連携も思うように進まなかった。

 日本維新の会の新人大久保裕美(おおくぼゆみ)氏(45)は「身を切る改革」や教育無償化を主張した。他陣営に組織力で見劣りする中、都市部で演説中心の空中戦を展開。板倉氏に約2万7千票差に迫り、一定の存在感を示した。

 9年ぶりに独自候補を擁立した共産党の新人岡村恵子(おかむらけいこ)氏(68)は、共産支持層以外に浸透しなかった。政治団体参政党新人の大隈広郷(おおくまひろさと)氏(52)、NHK党新人の高橋真佐子(たかはしまさこ)氏(57)の支持も一部にとどまった。

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