再選の伊波洋一さん、誓う「平和な沖縄」 経済回復へも意気込み<参院選沖縄選挙区>

 10日に投開票された参院選沖縄選挙区は、「オール沖縄」勢力が支援する無所属現職の伊波洋一さん(70)が、自民新人の古謝玄太さん(38)=公明推薦=を接戦で破り、事実上の一騎打ちを制した。名護市辺野古の新基地建設の是非や、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済立て直しの具体策などが争点となった選挙戦。オール沖縄を率いる玉城デニー知事がコロナに感染し、十分な支援を受けられなかった伊波さんだが、追い上げる古謝さんを退けた。2期目に向けて「県民の民意を盾に選挙をしたので、この勝利は極めて大きい。基地のない平和な沖縄を目指して取り組んでいきたい」などと気持ちを新たにした。

 那覇市古島の教育福祉会館では、テレビ各社が一進一退の攻防を伝える中、伊波さんと支持者らは一喜一憂しながら画面を見つめた。前回は10万票以上の大差で勝利したが、今回は最後までもつれる展開となった。11日午前0時ちょうど、各社が当選確実を報じると驚きの表情で立ち上がり、夫人と手を合わせた。ほっとした表情で支持者とグータッチを交わし、カチャーシーで笑顔を見せた。支持者らを前に「政府が辺野古反対の民意を押しつぶそうというものすごい重圧に耐えながら、辺野古反対と、二度と沖縄を戦場にさせないという民意だと重く受け止めている」と気を引き締めた。

 復帰50年の節目となった今参院選。県民が願った「基地のない平和な沖縄」はかなわず、復帰時からの課題は積み残されたままだ。「台湾有事」を巡り沖縄周辺で緊張が高まる中、有権者からは「沖縄が攻撃されるのでは」との懸念もぶつけられた。伊波さんは「そうさせない」と外交による解決を街頭で訴えた。車から手を振り返す人も増え、平和を願う県民の思いと呼応する形で、自身の訴えが浸透していると手応えを感じた。

 国会ではトップクラスの170回以上の質疑を重ね、基地問題などで地道に政府の答弁を引き出した。選挙戦の出だしは自民新人の古謝さんに後れを取った。時間を見つけては地元に戻り、離島にも足を運んで選挙活動を展開した。伊波さんは「基地のない平和な沖縄を目指し、子どもたちのために経済回復にも取り組む。平和で豊かで誇りある沖縄に向け、玉城デニー県政と地域の人たちと一緒に歩んでいきたい」と意気込んだ。

(中村万里子)

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