プジョー9X8を襲った複数のトラブル。94号車は実戦で初出現した“デブリ”でオーバーヒートか/第4戦モンツァ

 イタリアのモンツァで行われたWEC世界耐久選手権第4戦でレースデビューを飾った、プジョーの新型ル・マン・ハイパーカー(LMH)、『プジョー9X8』。プジョーのテクニカルディレクターは、複数のトラブルに見舞われたデビュー戦について「多くのことを学んだ」と総括している。

 7月10日に行われた6時間の決勝レースで、プジョーの2台はともに多くのトラブルを抱え、たびたびガレージに入ることとなった。グスタボ・メネゼス/ジェームス・ロシター/ロイック・デュバル組94号車のみが、25周おくれの総合33位でチェッカーを受けることができた。

 また、予選でストップし赤旗の原因となり、最後尾からスタートしたミケル・イェンセン/ポール・ディ・レスタ/ジャン・エリック・ベルニュの93号車は、序盤に発生した複数のテクニカルトラブルにより、リタイアとなっている。

 このように決勝は難しいものとなってしまったが、テクニカル・ディレクターのオリビエ・ジャンソニーは、激しい競争のなかでハイブリッド・プロトタイプ車両について可能な限り学ぶという目的について「ミッションを達成した」と述べている。

「我々にとっては、とてもハードなレースだった」とジャンソニー。

「学ぶために、我々はここへ来た。そして、我々は多くを学んだ。スタートから、いや、昨日の夕方の予選から大変だった。93号車は、最初から技術的な問題を抱えていたんだ」

「94号車については、少なくとも最初の2時間はかなりいいレースをしていた。その後、我々にとっては最悪のタイミングでセーフティカーが導入され、そこでトラブルが発生した」

「全体的に見れば、パフォーマンスはそこそこだったと思う。何度かいいラップタイムも刻めたので、それには満足している」

「学ぶべきことがたくさんあるのは分かっていたし、それはとても明確だった。ともかく我々はここへ来て学ぶという、その目標を達成したのだ」

モンツァでは複数のトラブルを抱え、リタイアに終わった93号車プジョー9X8

 ジャンソニーによれば、93号車にはいくつかの問題が「同時に」発生したため、ミケル・イェンセンが開始20分という序盤にアスカリシケインの出口でストップした原因を正確に定義することは難しい、という。その際、イェンセンはパワーロスを訴えていた。

 プジョーは起きたことの全容がまだつかめていないとし、「クルマのシステム全体に問題がある」との一般的な見方を、ジャンソニーは示している。

 この93号車のトラブルに関してステランティスのモータースポーツ・ディレクターであるジャン・マルク・フィノーは、レース中のTVインタビューで2.6リッターV6エンジンのターボブースト圧に関係していると述べていたが、ジャンソニーはこれを「複数の問題のうちのひとつ」と表現している。

「それ自体が問題なのか、別の問題の結果がそうなって表れたのかは分からない」というのが、ジャンソニーのレビューだった。

■実戦で初体験したトラフィック、そしてデブリ

 94号車は序盤、デュバルのドライブにより他のハイパーカー勢と遜色ない走りを見せたが、ドライブトレーンにオーバーヒートが発生した。プジョーは、車両内部に詰まったデブリがその原因であると考えている。

 これにより94号車は2回、計40分近くをピットでの作業に費やすこととなり、さらにメネゼスはレズモ間のコース上(ターン6〜7)に車両を停めることになった。

 このモンツァ戦は、(これまでのテスト含め)プジョー9X8が他の車両とコースを共有する初めての場であり、多くのデブリに遭遇するのも初めての経験であった。

「94号車は、全体的にかなり良いレースをしていた」とジャンソニーは述べた。

「ただ、マシンの温度の問題が発生し、何度かピットストップしなければならなかった」

「ここでは明確に、トラフィックの中でのレースというものについて学んでいる。デブリがそこらじゅうを舞っていたわけだが、これは我々にとって新たな経験だった。これは、我々がここで学ぶことのひとつだ」

 モンツァではハイパーカークラスのライバルより遅かったものの、プジョーはラップタイム・パフォーマンスには満足しており、次は9月に行われる第5戦富士6時間レースに向け、信頼性の向上に注力することになる。

 デュバルのマークしたベストタイムは1分38秒364で、グリッケンハウス007 LMHからは1.7秒、トヨタGR010ハイブリッドの最速タイムからは0.5秒以上の差をつけられている。

「パフォーマンスは示すことができたと思う」とジャンソニー。

「マシンがトラブルなく走れば、競争できると思っている。どんな競争が行われているか分かっていなかったが、上位での争いがあったようだ」

「彼らは、きちんと競争したのだと思う。我々の最後のスティントを見ると、ラップタイムはかなり競争力のあるものだった。そえは、我々にとって良い答えだ」

「このホモロゲーション規則では、最初に競争力を持たないマシンで参入してしまうと、上位に顔を出すのは非常に困難だ」

「ここで抱えた問題を解決できることを願っている。おそらく、我々はいくつかの新しい問題も見つけることになるだろう。これがシーズン末まで続く、我々の“ゲーム”だ」

ピット作業を行う93号車プジョー9X8

© 株式会社サンズ