【2022参院選しずおか】7分でわかる!静岡選挙研究の第一人者が分析 出口調査からみえたモノとは 

7月10日に投開票された参院選静岡選挙区(定数2)SBSなどが実施した合同出口調査の結果からみえてきたものとは。静岡の政治・選挙研究の第一人者・白鳥浩法政大学大学院教授とともに分析しました。

水野涼子アナウンサー

若林氏と平山氏の2人が当選確実、どう見るか。

白鳥浩法政大学大学院教授

今回の選挙は、岸田政権のこれまでの政権運営というのを占うという意味があった。若林候補を4割の支持を集めたということは、岸田政権に対して一定の評価があったということを示している。

あともう一つは平山候補か、山崎候補かという無所属の現職のうちのどちらか、という戦いでもあった。その中で、特に女性候補という目線を生かしていった平山候補が当選したという結果になったんだと思う。

瀬崎一耀アナウンサー

出口調査の結果を詳しく見ていきます。まずは地域別。浜松市中区、山崎候補の地元で若林候補がリード。静岡市駿河区でも、若林候補が36.6%と他を引き離している。そして、若林候補が御殿場市長も務めたが、御殿場市は68.6%と圧倒的な力を見せつけている。

白鳥教授

特徴的なのは、浜松市中区は山崎候補の地元だから、もっと取れるはずだが全然伸びていない。静岡市駿河区でも、2021年の参院補選では山崎候補は少し取ってるはずなんだが、平山候補に食われて、伸びてない。御殿場は若林候補が順当に取っているという印象。

水野

やはり地元ということでかなり強い印象

白鳥教授

2021年、特に静岡県内ではコシヒカリ発言の影響などもあり、「やっぱり御殿場は若林さんだ」ってまとまったところがあるんだと思う。

瀬崎

続いて、支持政党別。自公で、若林候補が大きくリードした。立憲民主党は今回自主投票だったが、平山候補が半分近くを占めている。国民民主党は山崎候補を推薦して、少し多く票を獲得しているという結果になっている。

白鳥教授

連合は山崎候補を推薦したが、立憲民主党は推薦しなかった。それが大きく影響している。同じ連合推薦の候補を多く抱える政党の立憲民主党と国民民主党、静岡県内では、非常に両党はいい関係だが、その対応の差というのがここに出ているように思う。

松木翼県政キャップ

山崎候補が国民で4割、5割に迫らないぐらいしか固められなかったという考え方、そして、立憲民主党も前回までは参院補選では推薦を受けて、ここもしっかり固められていたところが、これだけ平山候補に取られてしまったっていうところが、山崎候補の今回の票固めの弱さっていうのが出てしまったのかなと思った。

白鳥教授

自民と公明のところで、平山候補の票が特に公明票とか、あるいは自民票がこれだけ他の候補に流れるっていうのはなかなかないと思う。

瀬崎

無党派層、支持政党なしはどうか。大きく平山さんが獲得するという形になった。

松木

2021年の参院補選は山崎候補、若林候補、鈴木候補だったが、山崎候補が支持政党なしだと72%と出た。それが今回、平山候補がこれだけ取って、山崎候補が20%にとどまってる。72%取ってたのが20%になってしまったのはもちろん改選の数も違いますし、候補者の数も違う中ですけれども、ここまで変わってしまったかっていうのは少し驚いた。

白鳥

支持政党なし層というのは基本的には政党色を嫌う層。最近では最後の当落を決める有権者だと言われている。その中で特に無所属の候補だというアピールをしたしがらみがないという候補として平山候補を選んだっていうことがわかると思う。

瀬崎

比例代表で最も多かったのが自民党。

白鳥

自民党が4割超えている。静岡県内では3割後半ぐらいしか出ないはずだが、最後のところでおそらく自民党の支持というのがガーッと伸びた可能性があると思う。

水野

前回2019年の参院選では全体の38%自民党の得票率ということですので、出口調査の段階ですが、かなり伸びている印象がある

白鳥

静岡県では3割台の後半ぐらいしか自民の支持は上がらないはずだが、一つ大きく変わったのは、安倍元首相の死去という「安倍ファクター」と言ってもいいと思うが、この「安倍ファクター」が大きくですね選挙を左右したということがあると思う。これには先行指標というのがあって、1980年(昭和55年)の衆参同日選で、当時の大平首相が選挙期間中に急死し、その後の選挙は大平首相の弔い合戦だという形で投票率が上がり、自民党がずいぶん躍進したということがある。

水野

苦戦が伝えられていた中で自民党が圧勝したということか。

白鳥

今回の選挙も非常にそれに似たような動きをとっていると思われる。

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