1票の格差 高裁岡山支部にも提訴 参院選、原告ら「正当性ない」

提訴後の記者会見で格差の解消を訴える賀川弁護士(右)と原告の安藤さん

 「1票の格差」を解消しないまま実施した10日の参院選は憲法違反だとして弁護士グループが11日、選挙無効を求めて全国14の高裁・高裁支部へ一斉提訴の手続きを始めた。参院選当日の有権者数に基づく最大格差は3.03倍で、前回2019年参院選の3.00倍からやや拡大し、司法判断が注目される。

 升永英俊弁護士など二つのグループによる一斉提訴で、人口比例に基づく定数配分を要求している憲法に反し、投票価値に著しい不平等が生じているとして、選挙のやり直しを求めている。

 ◇

 岡山県では11日、広島高裁岡山支部に提訴した升永グループの賀川進太郎弁護士(岡山弁護士会)と、原告の会社役員安藤実さん(81)=倉敷市=が岡山市内で記者会見を開いた。

 安藤さんは「1票の格差は憲法が定める『法の下の平等』に反しており、格差が生じたまま行われた選挙には正当性がない」と強調。賀川弁護士は「都道府県別の選挙区にこだわっていると格差は解消しない」とし、「都道府県をまたいだブロック制にするなど抜本的な解決策が求められる」と訴えた。

 グループによると、昨年9月の有権者数に基づく計算では、選挙区のうち議員1人当たりの有権者が最も少ない福井と、12番目に多い岡山の格差は2.46倍。福井の有権者1人の選挙権価値を1票とした場合、岡山は0.41票となる。

© 株式会社山陽新聞社