【キャンプのキテますワード④】「エコキャンプ」が未来を変える! 個人の環境意識を高めるきっかけに

fam_mag Autumn Issue 2021より

キャンプの「今」を探るべく、いくつかのキテますワードをピックアップして解説するこのシリーズ。第四回の今回は、「エコキャンプ」に注目。今回はイラストレーターやキャンプコーディネーターとして活躍しているこいしゆうかさんに、エコキャンプについてのさまざまな情報を提供していただきました!※本記事は2021年9月8日に発売された「fam_mag Autumn Issue 2021」の特集企画に加筆・修正を加え再構成したものです。

イラストレーター・キャンプコーディネーターとして活躍するこいしゆうかさんに聞く「エコキャンプ」

イラストレーターやキャンプコーディネーターとして活躍している、こいしゆうかさん。女性が自立してキャンプを楽しむ「女子キャンプ」の提唱者でもあります。

キャンプを題材にしたイラストや漫画を多数手掛けており、キャンプを楽しむ人はもちろん、これからキャンプを楽しみたいという人からも注目を集めています!

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最近では、キャンプがきっかけとなり、自然を守り、自然と共存したいと思っている人が増えているのを感じます。

そんなこいしゆうかさんが語るのは、キャンプを通して環境を考える「エコキャンプ」という
スタイル。

今回はそんな「エコキャンプ」についてお聞きしました。

環境意識を高めるカギとなるのは“キャンプでの経験”

fam_mag Autumn Issue 2021より

近年、キャンプを長く楽しむ人が増えたことで、『マナーを守ってキャンプを楽しむ』という段階から『自然を永続的に守るため、自分たちにできることを模索する』という段階へステップアップ。人々の環境意識は、より具体的なものへ変わりつつあるのだそう。

例えばキャンプで一晩過ごすと、一日に排出するゴミの量や水の量が具体的にどれくらいなのか、簡単に把握することができます。その量をどうすれば少なくできるのかなと、多くのキャンパーは工夫を重ねながら、感覚を身につけているのです。

また、かっこいい・かわいいという理由だけでキャンプギアを選ぶのではなく、どれだけ自然に優しい製品なのか、フェアトレードな製品かといった基準でギアを購入する人が増えているのだとか。

水の浄化キットや生分解性のバイオプラスチック製アイテムが人気なのは、キャンプをする人の中でも、「エコキャンプ」の意識が高くなった証拠。

さらには、アメリカ大手アウトドアショップの『REI』は、リサイクル素材を使ったダウンの展開に力を入れており、その姿勢が若者からの支持を得ているのです。

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世の中の空気感とともに企業側もよりサステナブルな方向に経営活動が進んでいく。そんな好循環がずっと続いていくといいですね。

高品質のエコツアー体験を提供しているグランピング施設がある!

観光客と観光地の住民が一体となり、地域の自然はもちろん、伝統文化の価値を理解し、それらを守る考えを育てる「エコツーリズム」の概念がキャンプの世界にも浸透しつつあります。

世界各国でエコツーリズム開発支援を行う一般社団法人エコロジックが富士山麓の里山にオープンしたのは、グランピング施設の『マウントフジ里山バケーション』

多彩なエコツアーを展開しており、手付かずの自然の尊さを体感できる機会を提供しています。

マウントフジ里山バケーション

fam_mag Autumn Issue 2021より

宿泊は1日限定1組で最大8人までと、限られた人数で大自然を存分に体感できる贅沢なツアープランが多数用意されています。

fam_mag Autumn Issue 2021より

人気のエコバイクツアー用の『E-BIKE』は、ソーラー充電タイプでエコ。起伏の多い山道でも難なく走破する優れものです。

fam_mag Autumn Issue 2021より

提供される食事は、原則、地産地消。ラウンジなどの建材には周辺地域で育った富士ヒノキが使用されています。

アウトドア業界が協働する時代へ! 美しい自然環境を継承する

fam_mag Autumn Issue 2021より

アウトドア業界が一丸となって組織した『コンサベーション・アライアンス・ジャパン(CAJ)』は、ビジネス収益の一部が自然の未来のため、還元されるという仕組みを生み出しています。

ここでは、ヒマラヤなど明峰の登頂経験もあるCAJ事務局長・滝沢守生さんに、CAJについて詳しく教えてもらいました!

Q.CAJとはどのような目的で創設されて、具体的にはどんな活動をしているのですか?

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会員企業から集めた基金をアウトドア環境保護基金としてプール。日本の豊かな自然環境を保全・保護するために活動をしています。原則は草の根の非営利団体に対して、活動の支援となる助成金を拠出しています。

Q.これまでの活動を通じて、成し遂げた実績を教えてください。

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2020年度までに、183のプロジェクトに対して9,200万円以上を拠出・各種自然保護事業や里山の再生など、海や河川の浄化プロジェクトの環境保全に関する多種多様な活動をサポートしています。

Q.CAJが掲げている具体的な目標と今後のビジョンは?

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「アウトドアコミュニティの力を結集して生物多様性を保全し、気候危機から私たちのフィールドを守る」というのが2021年のスローガン。地球規模の環境問題に対して、より積極的に活動していきます。

環境保全とアウトドア製品に関連する認証規格を詳しく解説!

アウトドアメーカーでは、より環境に配慮した製品を作るために、試行錯誤をしています。

中でも国際機関や検査企業による環境関連の認証を得るということは、環境保全に対して努力をした表れだと言えるのです。

RWS

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羊毛を獲得する際、羊や牧場の土地の管理、輸送手段、製造工程のマネジメントが適切であることを証明する認証。

ISO 14001

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プロダクト製造する際、環境に配慮したマネジメントや組織、ルール作りがしっかりできているとされた企業に与えられる国際認証。

RDS

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RWSのダウン版。動物福祉を意識したダウンの採取が重視されており、生きている鳥や強制給餌で飼育された鳥の羽毛の使用は禁止とされています。

ブルーサイン

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繊維を扱うメーカーが、資源の生産性や消費者、労働者の安全、排水、排気など、適切に配慮していることを示している認証。

エコテックススタンダード100

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350種を超える有害物質を対象として分析試験をクリアした繊維製品に与えられる。安全な繊維製品の証として、100カ国以上で採用している。

個人の環境意識の高まりやSDGsの輪が地方創生のきっかけに

fam_mag Autumn Issue 2021より

全国の地方自治体は、2014年に政府が打ち出した地方活性化のための「地方創生」政策に則り、創意工夫をして地域の活性化に取り組んでいます。

中でも三重県いなべ市では、「持続可能な社会を実現する」ための私信であるSDGsの概念に注目。いなべ市の自然環境を生かしつつも、福祉や教育の視点を加えた企画に着手しているそう。

薪割りイベントや端材を使ったものづくり体験教室など、子供たちが自然やSDGsに興味を持ちやすいイベントを実施。こういった地域活性化を進めていくことで、市民の自然愛が深まっていくんですね。

いなべ市が目指す「サステナブルな社会」というのは、地方創生の良いモデルになるでしょう。

自然が遊び場のわたしたちから広がる「エコキャンプ」が未来を変える

キャンプの「今」を探るべく、いくつかの“キテるワード”をピックアップして解説する「キテますワード」。シリーズ第四弾の今回は、「エコキャンプ」をピックアップしました。

自然が遊び場のわたちたちだからこそ、自然の素晴らしさや美しさ、ありがたみを感じやすいもの。

そんなかけがえのない自然を永続的に守るために、これからも自分達でできることを探していきましょう!

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