ノグチゲラ、子どもらに見守られ森へ帰る 高江小の窓に衝突・保護し治療

 【東】環境省やんばる自然保護官事務所は6日、東村立高江小学校(大城豊校長)の窓ガラスに衝突して保護された雌のノグチゲラ1羽を放鳥した。ノグチゲラは児童や當山全伸村長、治療したNPO法人どうぶつたちの病院沖縄の長嶺隆理事長らに見守られて元気にやんばるの森に戻った。

 ノグチゲラは6月27日午後、高江小の音楽室の窓ガラスに衝突し、飛行が困難となった。第一発見者の英語補助教員ウォルター・アングレシーさん(37)は「『ドン』という大きな音がして、見に行ったら呼吸困難になって動けなくなったノグチゲラがいた」と振り返る。ウォルターさんは妻が勤務する山と水の生活博物館に連絡。東村教育委員会を通じて環境省やんばる自然保護官事務所に連絡が取れた。同事務所の職員がけがをした個体を救護し、どうぶつたちの病院沖縄(うるま市)に搬送した。ノグチゲラは病院到着時には意識がはっきりとしていたが、くちばしの先端が傷つき、出血が見られたという。飛翔(ひしょう)力が低下していたため高濃度酸素下の集中治療室で治療し、順調に回復したという。

 6日の放鳥に参加した児童らは、ノグチゲラの保護活動や調査を行う、どうぶつたちの病院沖縄の金城道男副理事長からノグチゲラの生態などについて学んだ。

 野鳥が窓に衝突するのを防ぐために窓ガラスに貼り付ける、タカの飛翔イラストを長嶺理事長から贈呈された高江小6年の森岡丸さん(11)は「ノグチゲラが学校の近くにいるのは特別だと感じる。元気になって森に戻って安心した。自分たちにできる保護活動を頑張っていきたい」と話した。

 環境省やんばる自然保護官事務所は「野鳥の窓ガラスへの衝突事故は、窓ガラスに光が反射し鏡面状になってしまうことが原因だと考えられる」と説明する。事故防止のため野鳥が窓ガラスを確認しやすくなるステッカー「バードセイバー」を貼ることや、カーテンの設置を呼び掛けている。

 同事務所は衝突事故に限らず、ヤンバルクイナやケナガネズミなど希少な野生動物の傷病個体、死亡個体を見つけた場合は速やかに連絡するよう呼び掛けている。連絡先は同事務所(電話)0980(50)1025、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄(電話)090(6857)8917。

 (松堂秀樹)

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