20代夫婦「家計改善、何からすれば?」貯まる仕組みづくりのはじめの一歩は?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、26歳、パートの女性。27歳の夫と、1歳と3歳の子どもと暮らす相談者。これから本格的に家計改善し、貯蓄や投資に励んでいきたいところだけれど、どこから手をつけてよいのかわからず、お金が貯まらないといいます。貯蓄体質の家計の作り方は? FPの山中伸枝氏がお答えします。


老後2,000万問題のこともあるのでお金を貯めたいと思い、毎月の支出の見直しをしていますが、どこから手をつけてよいかわからず、なかなかお金が貯まりません。

投資やつみたてNISAも始めたいと思っていますが、何から始めたらいいかも、やり方もいまいちわからず踏み出せずにいます。アドバイスをお願いします。

【相談者プロフィール】

・女性、26歳、パート、年収30万円 ・夫:27歳、会社員、年収440万円

・子ども2人: 1歳、3歳

・住居の形態:持ち家(戸建て、東海地方)

・毎月の世帯の手取り金額:31万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:15万円

・毎月の世帯の支出の目安:19万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:9万円

・食費:2万円

・水道光熱費:1万2,000円

・教育費:3,000円

・保険料:4万6,000円

・通信費:1万2,000円

・お小遣い:5,000円

・その他:5,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:5万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:5万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):35万円

・現在の投資総額:なし

・現在の負債総額:3,500万円

山中:ご相談ありがとうございます。

毎月の貯蓄額が5万円でボーナスからも5万円を貯蓄し、現在の貯蓄残高が35万円ということは、住居を購入する際に頭金や諸費用にこれまでの貯蓄をほぼ全て使われたのかもしれませんね。その上で、将来のためにお金を貯めたいと一生懸命家計の見直しをされているのは、とても立派です。

投資を始める前に家計の整理から

投資やつみたてNISAを始めたいとのことですが、まず家計の中で投資に回せるお金と回せないお金を整理整頓するところからはじめていきましょう。投資は、経済成長のエネルギーを活かしながらお金を増やす仕組みですが、お金は波を打ちながら成長していきます。すなわち、「上がれば下がる、下がれば上がる」を繰り返すものなので、あらかじめその変動を見込んで長く続けられるお金を投資に振り向けることがとても重要なのです。

お金を整理整頓する際には4つの目的別にお金を分類します。「使うお金」「貯めるお金」「守るお金」「増やすお金」です。

「使うお金」は生活費の3カ月分

「使うお金」は日常生活費の3カ月分とします。現在の貯蓄が35万円ですから、日常生活費の3カ月分にあたる60万円はあと5カ月で貯められますね。このお金は普通預金に置いておきます。

使うお金の置き場所である普通預金口座は、常に残高60万円をキープします。つまり給与日に20万円を口座に入金し、1カ月の生活費をそこから使い、給与日前の残高が60万円に戻るというサイクルです。このお金は、緊急時に備えた予備費となります。

「貯めるお金」は5〜10年の間に使うお金

「貯めるお金」は5年から10年の間に使う予定のお金を指します。しばらくするとお子さんたちは小学校に上がりますね。入学準備にもお金がかかります。中学、高校と続けば塾や受験費用も必要でしょう。そういうお子さんの教育にかかるお金は投資ではなく定期預金を利用し確実に増やします。

住宅ローンの繰り上げ返済を予定している、家族旅行や年に1回は帰省のお金が必要だ、といった目的のお金も「貯めるお金」として計画的に準備します。ネット銀行の定期預金は金利が高めですから利用したいところです。

「守るお金」は万が一に備えた保険

「守るお金」は万が一に備えた保険です。大きな病気をして働くことが難しくなる、配偶者が若くして亡くなって経済的に困窮する、といったリスクに適切な保険で備えます。現在保険料は4万6,000円支払っていますが、この保障内容が適切かどうかは確認したいところです。なぜかというと、リスクに備えるために保険は必要ですが、公的保険や会社の保障を知らずに必要以上に民間保険に入っていることも少なくないからです。

公的保険でどのくらい給付が得られるのかは、ねんきん定期便で試算ができます。専門家に相談して現状の保険が適切かどうか検討されるとよいでしょう。

「増やすお金」は投資信託を活用

「増やすお金」は、10年以上先に使う予定のお金を投資で作っていくところになります。具体的にはiDeCoやつみたてNISAといった税制優遇のある仕組みを使い投資信託を積み立てていきます。

「貯めるお金」と「増やすお金」をどう作る?

「貯めるお金」と「増やすお金」は同時進行で積み立てます。貯めるお金として10年後までに繰り上げ返済用に100万円を準備するという計画であれば、銀行の自動振替サービスを利用して毎月1万円を積立定期預金にします。また老後資金として40年で2,000万円を作りたいとなれば、月4万円で前述した税制優遇の仕組みを使い投資信託の積み立てをします。

いただいたデータを拝見すると、手取りの収入が31万円なのに対し、支出が19万円と毎月の貯蓄額が5万円となっており差異が生じています。支出の見落としがあるのか、それとももう少し貯蓄に回せるお金があるのか、今一度確認が必要そうです。もしかしたら、今より多く貯蓄や投資に回せるお金が作れるかもしれません。

iDeCoやつみたてNISAを利用して投資をすることは、すなわちよりよい物やサービスを提供する会社を応援することですから、巡り巡って自分たちの暮らしを豊かにすることにつながります。

同時に、自分への投資も考えたいところです。今後のキャリアを考え、資格取得やスキルの習得のためにお金も回しましょう。高い専門性があれば、働き方も選べますし、収入も期待できます。

今はお子さんが小さくて毎日忙しいと思いますが、10年後、20年後の家族の姿をイメージしながら、自分はどんなふうに社会と関わっていきたいのか、どんな仕事をしたいのかも考えるとよいでしょう。

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