県内コロナ 急速な再拡大に警戒感 13日連続で前週同じ曜日上回る

 岡山県内で新型コロナウイルス感染者が再び増えている。1日当たりの発表数は12日まで13日連続で1週間前の同じ曜日を上回り、その数も前週の2倍を超える日が続くなど急速に拡大。従来より感染力の強いオミクロン株の派生型「BA・5」への置き換わりが進む一方で、ワクチン接種から時間がたち免疫の低下した人が多いためとみられ、専門家は増加局面に「県内でも流行『第7波』に入りつつある」と警戒感を強めている。

 県のまとめでは、今年に入ってからの県内の感染者数は、流行第6波のさなかの2月5日に過去最多(1458人)を更新した後、まん延防止等重点措置適用(3月6日まで)もあって徐々に収束。人の移動が多い年度末やゴールデンウイークの影響で一時的な増加はあったものの、6月27日には約5カ月半ぶりに100人を下回り71人にまで減った。

 しかし、同30日からは一転、前週の同じ曜日を上回り、今月4日以降は連日のように2倍超で推移。学校などでクラスター(感染者集団)の発生も相次ぎ、岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は「若い世代を中心に拡大ペースが加速し、第7波に入りつつある」と指摘する。

 要因の一つが、全国的に置き換わりが進んでいるとされるBA・5の存在だ。県内では6月22日に初確認され、既にある程度広がっているとみられる。

 加えて頼藤教授は「ワクチン接種からの時間経過による免疫力低下、旅行や会食など人と人の接触機会が増えたことも再拡大につながっている」とする。

 国立感染症研究所(東京)によると、BA・5は重症化率は従来のオミクロン株と大差ないが、免疫をかいくぐる能力が高い。これまでにコロナに感染したことのある人もかかりやすく、感染者が急増すればそれに伴う重症者数の増加や医療の逼迫(ひっぱく)も懸念される。

 これから夏休みを迎え、旅行や帰省など移動の活発化が予想される。頼藤教授は「ワクチン接種に加え、手指消毒や屋内で会話をする際のマスク着用、会食は少人数・短時間で行うなど、めりはりのある感染対策を徹底するよう心掛けてほしい」としている。

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