福井で2021夏に大流行「RSウイルス感染症」 主な症状は咳や鼻水、発熱…赤ちゃんは悪化の恐れ

イラスト・小林孝文

 RSウイルスは呼吸器感染症の原因ウイルスの一つで、英語で呼吸器を意味する単語の頭文字を取った名前が付いています。2歳までに、ほとんどの子どもが1回はかかる感染症です。主な症状は通常のかぜと同様、せき、鼻水、発熱ですが、せきが治まるまで数週間かかる場合もあります。

 乳児では重症化することがあり注意が必要です。いつもより母乳やミルクを飲まない、呼吸がゼーゼー、ヒューヒューして苦しそうであれば、早めに医療機関を受診しましょう。新型コロナウイルス同様、鼻からの抗原検査で診断が可能です。哺乳不良、呼吸がつらい、肺炎の合併などがあれば、入院となることもあります。

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生後6ヵ月以下は要注意

 生後6カ月以下の赤ちゃん、早く生まれてきた赤ちゃん(早産児)、生まれつき心臓や肺に病気のある赤ちゃん、免疫不全やダウン症候群の赤ちゃんでは症状が悪化しやすい傾向があります。残念ながら現在RSウイルスに対する治療薬はありませんが、注意が必要な赤ちゃんの一部に対しては、流行期にRSウイルス感染症の重症化を予防する薬を投与することが可能なので、投与の適応や投与時期についてかかりつけ医とご相談ください。

流行状況の確認を

 以前は秋から翌年の春にかけて流行がみられましたが、近年は年度や地域により流行が異なっています。福井県では2021年夏に大流行がみられました。都道府県ごとの流行状況はインターネットのサイトでも確認できます。保育園、幼稚園などからの情報と合わせて参考にしてください。(福井県小児科医会/田村知史)

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