東武鉄道のSL大樹(たいじゅ)への乗車を続ける栃木県日光市の藤原中1年田辺幸大(たなべこうた)さん(12)がSLへの思いを込めて書いた作文を基に、市観光協会のSL観光アテンダント中島美樹(なかじまみき)さん(44)はこのほど絵本を制作し、田辺さんに贈呈した。鉄道職員との出会いで人見知りを克服したことや機関士になる夢など、田辺さんのあふれる情熱を描いた。世界に一つだけの絵本を手にし、田辺さんは「宝物にする」と喜んだ。
田辺さんは、2017年に運行が始まった当初から大樹に乗り続ける大のSL好き。乗客をもてなす中島さんらアテンダントとも顔見知りになり、大樹の写真などを見せるなどしていたという。
作文は小学6年生だった昨年の夏休みに書いた。SLを一目見て心奪われたこと、機関助士に話しかけてもらい大人に対する人見知りを克服できたこと、機関士のプロ精神へのあこがれなどの思いをつづった。
大手企業の作文コンクールへ応募するとともに、大樹へ乗車した際、中島さんに作文を見せた。中島さんは「思いの強さが伝わってきた。アテンダントとして応援したいと思った」と、絵本の制作を思いついた。
中島さんは自ら挿絵を描いた。アテンダントの同僚や機関士らも絵本のため、直筆のメッセージや、機関士になるためのアドバイスを寄せるなどして協力した。完成した絵本は、A5判のリングノートで50ページに及ぶ大作となった。
贈呈式は6月中旬に東武下今市駅で行われ、中島さんが田辺さんに絵本を手渡した。田辺さんはその場でページを開き、「すごくうれしい。一生大切にする」と笑顔を見せた。機関士となる夢に向けて勉強に励んでいる田辺さん。「大樹の機関士になるために頑張る」と力強く話した。