大石知事、石木ダム建設推進派と意見交換 早期完成を改めて強調

石木ダム推進派と初めて面会した大石知事=川棚町中央公民館

 長崎県の大石賢吾知事は13日、佐世保市と東彼川棚町を訪れ、初めて石木ダム建設推進派の市民、町民と意見交換した。渇水や洪水に苦しんだ経験、現状への不安を訴える推進派に対し、大石知事は反対住民の理解も得て早期完成を目指す姿勢を改めて強調した。知事は建設予定地で抗議の座り込みを続ける反対住民の元も訪問した。
 推進派との面会はいずれも冒頭を除き非公開。佐世保市では「石木ダム建設促進佐世保市民の会」の約20人が出席し、1994年の佐世保大渇水を振り返った。寺山燎二会長(83)は、老朽化した既存ダムが大雨で崩壊する懸念を指摘。知事によると、渇水で給水制限になれば在宅医療に支障を来すとの意見も出た。
 川棚町では、洪水被害を受けた住民らでつくる「石木ダム建設促進川棚町民の会」と、用地提供した元地権者でつくる「石木ダム地域住民の会」の計17人が出席。知事によると、町民は昨年、大雨で石木川の護岸が崩れ、人命に関わる恐れがあったと訴えた。住民の会の朝長一信会長(75)は終了後の取材に「移転して20年前後が過ぎ、決断した人もずいぶん亡くなった。計画通りの完成を」と求めた。
 知事は合間を縫って、建設予定地に座り込む住民らとも会った。反対住民の岩下すみ子さん(73)は取材に「世界に一つだけの大切な場所を守るために、できることをやるだけ」と話した。
 知事は就任後2回、建設予定地を訪問し反対住民から意見を聞いていた。


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