世界遺産の島でアマミノクロウサギの事故死多発、21年には最多更新 道路侵入防ぐネット増設へ 連絡会議が報告書案

アマミノクロウサギ

 「奄美・沖縄」世界自然遺産地域連絡会議は13日、昨年7月の自然遺産登録時に世界遺産委員会が指摘した希少種の交通事故死対策を盛り込んだ報告書案を示した。アマミノクロウサギが道路に侵入するのを防ぐネットを増設する方針を記した。12月までに世界遺産委に提出する。

 地域連絡会議は登録自治体や国、鹿児島、沖縄両県などで構成。オンラインで開かれた奄美大島部会で案を示した。

 奄美大島と徳之島に生息するアマミノクロウサギの事故死は2021年、過去最多を更新した。大和村、天城町、徳之島町には同年、防護ネットが各1カ所設置され、環境省が効果を検証している。事故死を防ぐ可能性があるとして、奄美大島南西部の県道湯湾新村線に新たに設ける方針だ。

 世界遺産委は河川再生への対策も求めており、報告書案では、登録地やその周辺の緩衝地帯に砂防ダムなどの工作物がある河川(奄美大島21カ所、徳之島15カ所)で、環境への影響がないか調査すると明記した。影響があれば、改善措置を検討する。

 報告書案は8月中に英訳し、9月に有識者でつくる同連絡会議科学委員会から意見を聴く。10月の連絡会議で合意を図る。

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