ここが「日本列島中心の地」 佐野の山間部にひっそりと立つ碑

蓬山ログビレッジにある「日本列島中心の地」の碑。右側の大きな石が重さ7トンの面白石

 きっかけは、栃木県による首都機能の誘致活動だった。1997年7月、県の講演会で旧田沼町(現佐野市)に日本列島の中心点があるという話題が上ったという。当時を知る佐野市職員は「県の担当者が誘致に有利な条件を探すうちに中心点を発見したようだ」と振り返る。

 割り出された中心点は東経139度30分、北緯36度30分。現在の佐野市作原町の山林内で、碑は2000年4月、南に約4キロ離れた蓬山ログビレッジに立てられた。碑の右脇には、中心点近くにあった面白石(おもっちろいし)と呼ばれる重さ約7トンの大きな砂岩も置かれている。

 「どまんなかたぬま」をうたい本格的なまちおこしが始まったのは、その前年の1999年だ。県民の日に合わせ「どまんなか宣言」を行い、2年後には道の駅どまんなかたぬまもオープンした。

 佐野市は現在、「日本のまんなか」を主張する群馬県渋川市など全国の9自治体とともに「全国へそのまち協議会」に加盟する。かつて、一連のPR活動に携わった佐瀬浩幸(させひろゆき)葛生行政センター所長は「市町村の考えにより“へそ”の位置は当然変わるが、それぞれの主張を尊重するのが大切。あくまでもまちおこしが目的だから」と笑う。

 【メモ】佐野市は、北海道(本島)最北端と九州(同)最南端からそれぞれ同距離の太平洋側の地点(茨城県神栖町)、日本海側の地点(新潟県上越市)を割り出し、2点を結んだ中間点を日本列島の中心と定義した。

「日本列島中心の地」の碑がある蓬山ログビレッジの地図

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