スズキ、2022年シーズンを最後にMotoGPとEWCから撤退すると正式発表

 7月13日、ロードレース世界選手権のMotoGPクラスにチーム・スズキ・エクスターとして参戦を続けてきたスズキ株式会社は、ドルナスポーツとの間で2022年シーズンをもってロードレース世界選手権の参戦を終了することについて合意したことを発表した。また、FIM世界耐久選手権(EWC)へのワークス参戦も2022年シーズンをもって終了することを決定した。

 スズキは1983年末にWGP(現MotoGP)、2011年末にもリーマンショックや東日本大震災の影響でMotoGPの活動を一時休止していた。そして、2015年に並列4気筒エンジン搭載のスズキGSX-RRを開発してチーム・スズキ・エクスターとしてMotoGPに復帰した。

 2015年から活動のはサテライトチームを持たず、1チーム2台体制で参戦。2台体制はアプリリアとスズキのみで、ホンダ、ヤマハ、KTM、ドゥカティの4メーカーは4台以上でエントリーしているため、データや開発は他チームから劣ると考えられていた。

 しかし、2016年第12戦イギリスGPでマーベリック・ビニャーレスが復帰後初優勝を飾る。2017年のベストリザルトは4位だったが、2018年は複数の表彰台を獲得。社内にスズキレーシングカンパニーを新設した2019年はアレックス・リンスが2勝を挙げた。

 続く2020年にはジョアン・ミルが1勝を含む7度の表彰台に上りライダーズチャンピオンに輝く活躍を見せた。さらに、リンスも1勝を含む4度の表彰台に上がっており、チームチャンピオンも獲得した。

 そして、2021年からはモンスターエナジーとスポンサード契約を締結し、エストレージャ・ガリシアのロゴもマシンに入り、コンスタントに表彰台を奪取。2022年からはリビオ・スッポをチームマネージャーに就任するなど体制を強化していた。

2022MotoGP:チーム・スズキ・エクスター

 そんななか、ドルナスポーツと2022年から2026年までの5年間、MotoGPクラスに継続参戦する契約を破棄して、復帰8年目となる2022年シーズンを最後に撤退することを発表した。撤退を受けてスズキ株式会社代表取締役社長の鈴木俊宏は以下のように語っている。

「スズキは、サステナビリティの実現に向け、経営資源の再配分に取り組まねばならない中で、この度のMotoGPとEWCの参戦終了という決断をいたしました」

「二輪レース活動は常に技術革新・人材育成の場としてチャレンジをしてきた場所であります。この度の決断は、レース活動を通じて培ってきた技術力・人材を、サステナブルな社会の実現へ振り向け、新たな二輪事業の創生に挑戦していくことを意味しております。MotoGP復帰以来、私たちのレース活動を支えてくれた、ファンの皆様、テストを含めて関わってくれた全ライダー、全関係者の皆様に深く感謝申し上げます」

「アレックス・リンス、ジョアン・ミルの両ライダーとチーム・スズキ・エクスター、ヨシムラSERT Motulを最後まで全力でサポートをしてまいります。温かいご支援をお願いいたします」

優勝したヨシムラSERT Motul/2022EWC第1戦ル・マン24時間

 また、スズキはロードレース世界選手権のみならずEWCに参戦するワークスチームのヨシムラSERT Motulの活動も2022年シーズン限りで参戦を終了すると発表した。

 ロードレース世界選手権においては、2022年シーズン最終戦となる第20戦バレンシアGPまでは参戦を継続することになるが、来シーズンはチームが消滅する。それに伴いミルとリンスとの契約も継続しないことになるため、他メーカーのチームへ移籍することになるだろう。

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