保護猫1500匹 新たな飼い主に 「倉敷猫まもりの会」10年目

倉敷猫まもりの会が開いた譲渡会。新しい飼い主候補者が猫と触れ合った

 倉敷市保健所(同市笹沖)で保護された猫を一時的に預かり、新しい飼い主を探す民間ボランティア団体「倉敷猫まもりの会」が、結成から10年目を迎えた。預かった猫を飼育しながら譲渡会を毎月行い、これまでに約1500匹をつないだ。一方、衰弱して保護された猫の医療費をメンバーが負担してきた経緯もあり、資金確保に奔走する。

 6月下旬、市内で開かれた譲渡会。生後2カ月ほどの子猫15匹が愛くるしい表情を見せる。飼育を希望する家族ら12組がケージに顔を寄せたり、抱きかかえたりして触れ合い、夫婦で訪れた会社員(37)=同市=は「ペットショップで購入するよりは保護猫を助けたいと思った」と話した。

 希望者は飼いたい猫をアンケート用紙に記し、完全室内飼育や毎年のワクチン接種、避妊・去勢手術後の報告が可能かといった質問に回答。結果を基にしたマッチングで10匹の譲渡先が決まった。

自宅で世話

 同会は2013年4月、塩田陽子代表(53)=同市=と平賀由美副代表(56)=同市=が「殺処分される猫を1匹でも救いたい」と立ち上げた。

 現在は倉敷、岡山、浅口市の約30人が所属。倉敷市保健所から連絡を受けると、飼い主が見つかるまで自宅で預かり、昨年度は約200匹を引き受けた。

 生後間もない子猫は2、3時間おきにミルクを飲ませ、けがや病気があれば病院で治療を受けさせる。昼夜を問わない世話の傍ら、月2回ほどの譲渡会でマッチングした後は、飼い主候補者の家を訪ねて飼育環境を確認。無責任な飼育を防ぐためといい、約2週間のトライアル期間を経た正式譲渡が決まるまで慎重に手順を踏む。

 市保健所はこうした活動を「行政の手が回らないところを支えてくれている」と評価。21年度に市保健所から市民に引き渡された猫は09年度から8倍近く増えて257匹となり、同様に千匹だった殺処分は26匹に減った。

200万円以上

 課題は活動資金の確保だ。ミルクやトイレの砂などは賛同者からの寄付で賄えているが、治療費はこれまでメンバーが個人負担し、21年度は200万円以上かかったという。

 19年度から活用する市の補助(上限50万円)が22年度末で適用から外れることもあり、同会は4月にクラウドファンディングに挑戦。1カ月余りで目標額300万円を上回る417万円が集まった。

 安定的に寄付や補助が受けられるようNPO法人化の準備も進めており、塩田代表は「殺処分される猫がゼロになるよう、できる限り努力したい」と話している。

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 「倉敷猫まもりの会」は17、24、31日、倉敷市玉島乙島のマキシマ電業で譲渡会を行う。両日とも午後1時から30分ずつ4回に分けて実施。要予約で申し込みは同会ホームページの専用フォームから。会員も募っている。

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