県民割でお得に旅行する方法をFPが解説、最大7000円分もらうために必要なこととは?

観光支援事業としてスタートしたお得な「県民割」キャンペーンは、7月前半に全国へと拡大される予定でしたが、コロナ感染拡大を受けて延期する方針が発表されました。状況が変わりがちな県民割ですが、これから旅行したい人に向けて県民割の内容や使い方など、注意点を含め知っておきたい情報をまとめました。


県民割(地域観光事業支援)とは

県民割(地域観光事業支援)とは、国が行う観光事業支援策として県内旅行する人を対象に、旅行代金が1泊最大で7,000円補助されるキャンペーンです。「もっとTokyo」「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」など、都道府県ごとに独自の名称がつけられ、それぞれで実施されています。

県民割は宿泊の場合、1人1泊最大5,000円の割引とクーポン2,000円分がもらえます。クーポンは地域の対象店でのお買い物に利用できます。例えば、お土産、食事、ガソリン、公共交通機関、日用品など様々なシーンで利用できます。対象の宿泊施設やクーポンが使える場所は限られていますが、通常よりとても安く旅行することができます。

割引の要件として、ワクチン接種歴3回証明、またはPCR検査陰性証明と、県内在住を証明するための身分証提示が必要です。

7月前半には県民割が全国へと拡大する「全国旅行支援」が予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期となり、7月14日までとされていた県民割の期限が8月末まで延長されました。ただし都道府県ごとに決定されますので、すでに大阪府のように延期はしないと判断した都道府県もあります。全国旅行支援の開始時期は改めて判断されることになります。

県民割の全国拡大でどう変わるのか

県民割が全国に拡大する「全国旅行支援」が始まると、今まで県内や近隣県にしか使えなかった割引が全国で使えるようになります。

全国旅行支援は、割引金額などが県民割とは異なります。県民割は割引率50%、最大で1泊5,000円の割引と、クーポンは2,000円でした。全国旅行支援は割引率40%、交通付き宿泊で最大8,000円の割引(交通付宿泊以外は最大5,000円)、クーポンは平日3,000円・休日1,000円になります。合計すると県民割は最大7,000円の補助でしたが、全国旅行支援では最大11,000円の補助が受けられます。前述の通り県民割は8月末までの予定ですが、全国旅行支援の開始時期は未定です。

県民割の使い方

県民割の使い方は都道府県によって変わりますので、旅行先の都道府県のキャンペーン内容や割引方法をよく調べる必要があります。

基本的な予約方法は、対象となる予約サイトや旅行会社で対象プランを予約するか、直接宿泊施設に県民割利用を伝えた上で予約します。旅行の際に持参が必要なものはワクチン3回の接種証明書又はコロナ陰性証明書、それと身分証です。ツアー出発時かチェックイン時に提示します。クーポンの受け取りタイミングはチェックイン時かツアー出発時で、その後のお買い物に使えます。クーポンの有効期限は都道府県により異なります。

宿泊代の割引方法は後から還付されるのではなく、割引された代金を支払います。ワクチンの接種済証や身分証を忘れてしまった場合は割引されません。絶対に忘れないよう注意しましょう。ワクチンの接種済証や検査の結果通知はスマホ画像でもOKな場合が多いので、入手したらすぐ撮影しておくと安心でしょう。

都道府県によっては専用サイトからの予約が必要だったり、あらかじめコンビニなどでクーポン券の発行が必要な場合があります。県民割と言いつつ、近隣県からの旅行者も割引対象になる都道府県が多くあります。旅行に行きたい先の県民割について、よく調べる必要があります。

都道府県によって違う割引の計算方法

県民割の計算方法は都道府県により大きな違いがあります。東京の場合、基準額6,000円以上の宿泊旅行で5,000円の割引、18歳までの子どもは上乗せ助成としてさらに1,000円、最大6,000円の割引があります。

例えば大人2人(1人当たり9,000円)、子ども1人(5,700円)の宿泊の場合、総額23,700円÷3人=1人当たり平均7,900円。平均が基準額に達しているため3人分が助成の対象となり15,000円が割引されます。さらに子どもは最大1,000円の上乗せ助成があるため、割引前価格の5,700円から5,000円を差し引いた残り700円も割引。トータル15,700円の割引で支払額は8,000円となります。これとは別のクーポン付与はなく、都民だけが対象です。

北海道の場合は、大人子ども関係なく1人あたり1泊3,000円以上から段階的に1,000〜5,000円の割引と2,000円のクーポンが付与されます。10,000円以上の宿泊で最大5,000円の割引になります。北海道民のほか、東北6県在住者(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)も割引対象です。

PCR検査を無料で受けるには

ワクチン接種3回が済んでない場合、PCR検査等の陰性結果通知が必要です。市販の検査キット(セルフチェック)は対象外です。

PCR検査は全国の薬局などで無料で受けられます。それぞれの都道府県で無料対象の店舗が公表されていますので、旅行前に調べておきましょう。県内在住であればワクチン2回接種も割引対象としている都道府県も多いので確認してみてください。割引に必要なPCR検査結果の有効期限は、検査方法によって異なります。

・PCR検査・抗原定量検査:旅行・宿泊開始日の前日から起算して3日以内のもの
・抗原定性検査(簡易キット):旅行・宿泊開始日の前日から起算して1日以内のもの

旅行の3日前でも有効な検査と、前日しか有効にならない検査があります。薬局によりどの検査を実施しているか変わります。また、検査に予約が必要だったり、検査日時が限られたりする場合もあります。PCR検査をいつどこで受けるのか、旅行の出発に間に合うよう予定を組まなければなりません。

検査を受ける際は、予約メールのスクショなど旅程を証明できるものと、身分証を持参しましょう。旅程は用紙に記入するだけでも検査を受けられますが、証明できない場合は検査を断る薬局もあるようなので、事前に必要なものを確認しておくと安心です。

県民割の注意事項

最後に注意事項を紹介します。旅行を計画されている方が、制度を活用するための参考になれば幸いです。

Q:あとから割引は可能か

県民割は、旅行後に後から適用することは出来ません。予約済みの場合も改めて予約を取り直す必要があります。全国旅行支援についての詳細は現時点では分かりません。

Q:日帰りにも適用されるか

日帰りも対象です。対象のプランを選択する必要があります。

Q:GoToトラベルとの使い分け

元々GoToトラベルの代替として始まったのが県民割です。県民割が終わると全国旅行支援になり、その後は「新たなGoToトラベル」へと移行するものと見られていましたが、現時点で再開時期は未定です。

全国旅行支援とどちらがお得かは、そう大きく変わりません。全国旅行支援は割引率40%、交通付き宿泊は最大8,000円の割引(それ以外は最大5,000円)となります。一方、新たなGoToトラベルは割引率30%、交通付き宿泊は最大10,000円、宿泊のみは最大7,000円の割引が予定されています。しばらくはお得に旅行できる制度が続きそうです。

Q:子どもの県民割について

保護者同伴の場合、12歳以下の子どもはPCR検査不要です。保険証など身分証のみ持参が必要です。宿泊料のかからない乳児は、割引や地域クーポンの付与については都道府県によって計算方法が変わります。

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