シリーズ『エビデンスを頂戴!』直火での焚き火は微生物が死滅する? 死滅するとどうなるの? 気になる根拠を頂戴しました!

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エビデンスとは「根拠」「裏付け」といった意味を持つ言葉。『エビデンスを頂戴!』シリーズでは、キャンプにまつわる「ソレやったらダメらしいよ」のエビデンスを専門家に聞いちゃいます!今回取り上げるのは、直火での焚き火に関するアレコレ。農研機構農業環境研究部門広報担当の方に、直火の焚き火に関するエビデンスを頂戴しました!※本記事は2021年9月8日に発売された「fam_mag Autumn Issue 2021」の特集企画に加筆・修正を加え再構成したものです。

「ソレやったらダメらしいよ」の根拠が知りたいんじゃ!

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キャンプにまつわる「ソレやったらダメらしいよ!」って話、よく耳にしませんか?

思わず「エビデンスを頂戴!」と言いたくなってしまうような眉唾情報が含まれていることもあって、何を信じていいのか迷ってしまいますよね。

この『エビデンスを頂戴!』シリーズでは、実際にそれらのエビデンスを専門家に聞いちゃいました!

今回取り上げるのは、直火での焚き火に関するアレコレ。

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「土の中の微生物が死んじゃうから、直火はNG!」ってホント?

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「微生物が死滅したら環境破壊になるんだから!」ってホント?

これらの“アレコレ”について、農研機構農業環境研究部門広報担当の方にエビデンスを頂戴しました。

エビデンス1:Q.熱で微生物が死滅してしまうのは、どういう条件のときですか?

均一な温度が一定の時間続いたときです。

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例えばですが、食べ物を低温殺菌するときは、約60℃を30分間キープすることで、細菌を死滅させることができます。このとき大切なことは、均一な温度で一定の時間を持続させること。

地中の場合は、温度や水分、密度にムラがあるため、均一な環境ではありません。また、熱への耐性というのも微生物によって変わるため、食べ物と比べるとより長い時間をかけて熱を加える必要があると考えられます。

ちなみに畑の消毒をするときは、土壌を均一の状態にした上で、50℃で10分を5日間といった時間をかけていますよ。

エビデンス2:Q.直火をすると地面はどのくらいの温度になるのでしょう?

山火事でいうと、地表面で400℃、深さ1cmで200℃、深さ5cmで50℃にまでなるという測定結果があります。

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山火事の場合は、燃えるものがなくなると徐々に火は収まるので、大体1分程度で通り過ぎると言われているんですよ。

ですが、火が通り過ぎたあとも、その温度が数時間持続するようです。

エビデンス3:Q.直火で焚き火をすると、微生物は死んでしまいますか?

直火周辺にいる微生物は死んでしまう可能性があります。

地表面にいる微生物は、おそらく短時間で死んでしまうでしょう。また、直火の熱で地中の温度が上がり、ある程度の温度がキープされた場合は、地中の微生物も死んでしまう可能性があります。

焚き火の場合は、同じ場所で燃やし続けるため、直下では温度は上がりますが、周辺の温度はそれほど上がらないと思われます。

そのため、直火によって微生物が死んでしまう可能性のある範囲というのは、ごく狭い範囲に限られると考えられます。

エビデンス4:Q.微生物が死滅したらどうなるのですか?

実際のところ大きな影響はありません。

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焚き火をした場所の微生物が死んでしまったとしても、周辺の微生物が侵入してきます。他にも、昆虫をはじめとした生き物は行動範囲が広いため、ほとんど影響を受けないでしょう。

ただし、植物は焚き火の熱によって枯れてしまいます。

追加検証 Q.焚き火シートは本当に地面への影響をカットできるのか?

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焚き火を楽しむ際に推奨されている焚き火シート。焚き火台の熱から地面を保護する役割がありますが、本当に地面への影響はないのでしょうか。

実際に検証・実験を行いました。

【条件】

  • 条件1.火床までの高さ=10cm/30cm
  • 条件2.焚き火シート=アリ/ナシ
  • 条件3.計測・観測箇所=地表面温度/地中5cm温度/真下の草の様子

検証結果:焚き火シート【ナシ】の場合

検証結果:焚き火シート【アリ】の場合

結果は、焚き火シートの機能どおり、地表面の熱は和らいでいます

しかし、熱がこもってしまったのか、シート使用時に草がまばらにかれる様子が見られる結果となりました。

fam_magが出した持論がこちら!

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●直火でも地中の微生物にさほど大きな影響はなし

●自然へのダメージを減らすための配慮は必要

よく言われている、「直火で微生物が死滅してしまうと、環境に悪影響を与えてしまう説」については、大した影響がないという結果になりました。

とはいえ、直火のすぐ下の微生物は死んでしまう可能性がありますし、植物は枯れてしまいます。

微生物以外に周辺の草木に燃え移って火事に繋がったり、景観を損ねてしまったりする可能性も。

直火OKなキャンプ場であれば良いですが、何を大切にするのか、その範囲を自分なりに考えた上で焚き火を楽しみたいですね。

書籍「キャンプのあやしいルール真相解明」をチェック!

今回ご紹介した情報は、fam_mag_mag Autumn Issue 2021と、キャンプにまつわる定説の真偽をまとめた書籍「キャンプのあやしいルール真相解明(山口健壱・著)」を元に作成しています。

気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

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