天国から降り注ぐ花のシャワー 愛犬が眠る場所を真っ白に埋め尽くすサガリバナ 沖縄・中城村

 【中城】県内各地でサガリバナ(サワフジ)が見頃を迎える中、中城村南上原の與座優子さん(48)、衛さん(59)宅では、例年にないほど、たくさんの花が咲いた。愛犬カールが昨年14歳で死に、木の下に埋葬して1年。與座家では、花咲かじいさんならぬ“花咲カールじいさん”の話題で持ちきりだ。

 約15年前に南上原に新築し、庭の端に小さなサガリバナを植えた。それから間もなく、1女3男の與座家に四男坊としてカールを迎え入れた。カールは、時折脱走するほどのわんぱくぶりで、與座家をにぎわせた。

 「人懐っこいが犬見知り。子どもたちと一緒に成長していった」と優子さん。カールの脱走時には衛さんが「末っ子が保護されたので、迎えに行きます」と、職場を沸かせたこともあるという。

 與座家でたくさんの愛の中で過ごしたカールは昨年の梅雨時に体調を崩し、6月24日に息を引き取った。火葬後はカールと子どもたちの成長を見守ってきた庭のサガリバナの根元に埋葬した。

 今年の6月24日、優子さんが庭のサガリバナをふと見ると、例年の何倍もの実をつけていた。その後、庭に香りが立ちこめるほど一気に満開となった。散った花びらは真っ白なじゅうたんのように積もっていたという。

 昨年の今ごろは「玄関で迎えてくれていた姿がなくなって。悲しくて寂しくて仕方がなかった」という優子さんだが、今年は庭の木にも会話にも花を咲かせた愛犬を笑顔で振り返る。「今までたくさんの思い出をありがとう。今年もわが家を楽しませてくれてありがとうねカール」。天国の愛犬へ言葉を掛けた。

 (新垣若菜)

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