JR西日本が乗務員のミスで運行に遅れなどが出た場合、その時間分の賃金をカットしていた問題で、同社は2020年3月から2年間に起きた26件の事案について、未払い分を今年7月の賃金に加算して支給する方針を固めたことが15日までに分かった。
20年6月、同社岡山支社の男性運転士(故人)の勘違いで回送列車の発車が1分遅れたことを理由に、賃金56円がカットされたのは不当として、男性が同社に未払い分と慰謝料などを求めた訴訟の判決で、岡山地裁は今年4月19日、56円を支払うよう命じた。
JR西日本労働組合(JR西労)によると、同20日、同様のケースの賃金支払いを会社側に申し入れた。6月30日に会社側から回答があり、26件分の支払いを伝えられたという。JR西労は「懲戒処分や評価面での不利益はまだ解消されていない。引き続き会社と協議していく」とした。
同社は判決に先立ち今年3月、これらのケースで賃金をカットする長年の運用を見直している。今回の賃金支払いについて、同社岡山支社は「何も答えられない」としている。