『夏の砂の上』 作 松田正隆, 演出 栗山民也, 出演 田中圭, 西田尚美, 山田杏奈_ 11月@世田谷パブリックシアター

松田正隆の名作「夏の砂の上」を栗山民也が演出で、この11月世田谷パブリックシアターにて上演。出演は、田中圭、西田尚美、山田杏奈、尾上寛之、松岡依都美、粕谷吉洋、深谷美歩、三村和敬。

劇作家 演出家の松田正隆が生まれ育った長崎を舞台に描き、1999年読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した松田の代表作を上演。 職をなくし妻に家出された主人公と彼を取り巻く人物たちの間で交わされる会話から、一見淡々とした日々に漂う、抗いようのない悲哀や心の乾きが滲みだす名作。

演出の栗山民也は「涙の谷、銀河の丘」(2003年/新国立劇場)以来となる松田正隆とのタッグ。コロナ禍のこの時代に上演する作品として、栗山は、日々の生活に重く漂う閉塞のもとに生きる人々のやるせなさと慈しみを描き出したこの作品を選んだ。

栗山演出作は、世田谷パブリックシアターでは「藪原検校」「シャンハイムーン」「CHIMERICA チャイメリカ」 「殺意 ストリップショウ」「彼女を笑う人がいても」など上演。
栗山は「CHAIMERICA チャイメリカ」に出演した田中圭の再起用にあたり、積み重ねられる会話から登場人物の心模様があぶり出される、俳優の力量が問われるこの「夏の砂の上」を選んだ。田中が絶大な信頼を寄せる栗山の演出により、舞台俳優としての実力を存分に発揮することに期待。

田中との共演には、夫を捨て家を出ていく妻・恵子を演じるのは、舞台や映像作品で唯一無二の存在感を発揮する西田尚美。若手実力派として映像作品に多く出演する山田杏奈は、本作品が初の舞台出演。 さらに、新時代のバイプレイヤーとして注目される尾上寛之、 2020年に紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した実力派の松岡依都美、 また舞台を中心に活躍し演出家が信頼を寄せる粕谷吉洋、深谷美歩、三村和敬と、豊富な舞台経験を持つ俳優が揃い、登場人物の心情の揺れが幾重にも積み重なる作品世界を、丁寧に描き出される。

あらすじ
ある地方都市、坂のある街。 坂にへばりつく家々は、港を臨む。 港には錆びついた造船所。 夏の日。
造船所の職を失い、妻・恵子に捨てられた小浦治のもとに、家を出た恵子が現れる。恵子は4歳で亡くなった息 子の位牌を引き取りに訪れたのだが、治は薄々、元同僚と恵子の関係に気づいていた。 その時、治の妹・阿佐子が16歳の娘・優子と共に東京からやってくる。阿佐子は借金返済のため福岡でスナック を開くと言い、治に優子を押し付けるように預けて出て行ってしまう。
治と優子の同居生活が始まる。

コメント
演出 栗山民也
近頃、歳のせいか、静かにゆっくりと動くドラマに惹かれる。稽古の後半には、それまで積み重ねてきた飾りもの を削ぎ落とし、最後に残された風景と言葉だけを見つめているような気がする。
世田谷パブリックシアターから新しい演出依頼があった。いつもより少し長い間、上演作品を考えた。こういう時 が実は一番幸せな時間で、自分の今までをじっくりと思い返すことができる。そんな時、松田正隆のセリフがちぎ れちぎれに聞こえてきた。風に揺れていたり、突然ピタリと止んだ乾いた沈黙のときだったり。
この「夏の砂の上」の風景の中を流れるジリジリとした熱い感情と、しかし静かに刻む時間の一刻一刻に身を任 せ、この荒涼とした現在から、そこにその時生活していた人たちを見つめてみたい。

作 松田正隆
「夏の砂の上」という戯曲を書いたのは、ずいぶん昔のことで、平田オリザさんから依頼があって、この戯曲は青 山円形劇場で上演されました。1998 年のことです。
思い出すのは、この戯曲を書くにあたって、まだ、プロットも固まっていない時に、さんざん夏の長崎を歩き回っ たことです。汗をかいて坂をのぼりくだりしているうちに、次第に劇の輪郭が生まれてくるような気がしました。故郷 の長崎を遠くから想像してつくるようなドラマではなく、石段に身体がへばりつく感覚でセリフを書いた覚えがあり ます。渇水の町で洪水にのまれ、閃光に焼かれるイメージを得られたのは、長崎をただひたすらに歩いた経験が もたらしたものでした。
カラダが立ち、歩く、座るという姿勢から、うつ伏せ、横たわり、挙句に蒸発し影となり流されるということ。生命の 水準についての劇は時代の重力に従順になるほど、露わになります。私は、「日常」の劇から「生と死」に直面する 劇へと変容するような戯曲を書きたかったのかもしれません。
それでも、おそらくは「作者の思い」などこえて上演されるのが演劇の面白さでしょう。上演を拝見するのがとて も楽しみです。

田中圭 (小浦治役)
2019 年の『CHIMERICA チャイメリカ』以来、栗山さんのもとで演 劇ができる 2 度目のチャンスをいただき、とても嬉しいです。松田 さんの深みを持つこの作品をどこまで掘り下げていけるか、栗山 さんの演出でどんな舞台になっていくのか、僕自身がどう体感し ていくのか…とても楽しみにしています。皆様にもぜひ一緒にこ の作品の深さやその奥にうごめくものを感じていただければと思 っています。劇場でお待ちしております。

西田尚美 (小浦恵子役)
何度も拝見してきた栗山さんの演出を受けるのは今回が初めて で、世田谷パブリックシアターの舞台に立たせていただくのも初 めてです。どんな風景が見えるのだろう、ぜひ挑戦したいと思い ました。松田さんの『夏の砂の上』はとても素晴らしい戯曲なの で、共演の皆様とともに長崎の湿度を感じるような舞台を築いて いけたらいいなと思っています。ぜひ皆様にも舞台の私たちと同 じ空気をじっとりと感じていただければと思っています。

山田杏奈 (川上優子役)
初めての舞台出演で、出演が決まってからずっと、頭のどこかに 「舞台」への緊張感があります。目の前で観てくださるお客様がい る舞台ってどんなものだろうとワクワクもしています。これまでの数 少ない経験や価値観を、一度捨てられるような勇気を持って、新 しくお芝居を始めるような気持ちで挑みたいと思っています。栗山 さんのご指導と、舞台経験豊富な共演者の皆様に精一杯ついて いけるよう、まっさらにして臨みたいと思います。

概要
タイトル:『夏の砂の上』
作:松田正隆 演出:栗山民也
出演:田中圭 西田尚美 山田杏奈 尾上寛之 松岡依都美 粕谷吉洋 深谷美歩 三村和敬
美術:二村周作 照明:服部 基 音楽:国広和毅 音響:井上正弘 衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹 方言指導:柄澤りつ子 演出助手:須藤黄英 舞台監督:田中直明
プロデューサー:大下玲美 芸術監督:白井晃
宣伝美術:相澤千晶 宣伝写真:若木信吾 宣伝スタイリスト:髙木阿友子 宣伝ヘアメイク:YOSHi.T
日程会場:2022年11月3日(木・祝)~ 11月20日(日) 世田谷パブリックシアター
チケット料金:(全席指定・税込) 一般:S席(1・2 階席) 8,500 円 A席(3 階席) 6,500 円
※ほか高校生以下、U24など各種割引有 ※託児サービス有 ※車椅子スペース取扱有
チケット一般発売:2022年9月4日(日)
チケット取扱:世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515 (10:00~19:00) 世田谷パブリックシアターオンラインチケット(要事前登録・24 時間受付) https://setagaya-pt.jp/ ※窓口での発券・発売無し

ツアー情報:
兵庫:11月26日(土) ~11月27日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
宮崎:12月3日(土)~12月4日(日) メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホール
愛知:12月10日(土)~12月11日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール
長野:12月16日(金)~12月17日(土) まつもと市民芸術館 主ホール

主催:公益財団法人せたがや文化財団 企画制作:世田谷パブリックシアター 後援:世田谷区
問合:03-5432-1515 (10:00~19:00)

WEB:https://setagaya-pt.jp/

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