子どものスマホデビューに「小学5年生」がおすすめな理由

先日、子どもにスマートフォン(以下「スマホ」)を初めて持たせた時期を問うアンケートで、「小学生から」という回答が51.6%に上ったというニュースがありました。

「小学生未満」という回答も5.8%あり、スマホデビューの低年齢化が進んでいます。小学生がスマホやSNSを使う上で気を付けるべきことについて、刑事コメンテーターの佐々木成三さんに、SBSラジオ『IPPO』パーソナリティの牧野克彦アナウンサーが聞きました。

佐々木:最近は小学生にキッズ携帯よりもスマホを持たせる親が多くなりました。コロナ禍で急激にオンライン化が進み、今後は「スマホを持つな」ということは言えなくなってくると思います。

牧野:止めることができない流れだということですね。

佐々木:これからは子どもにスマホを持たせる上で、親はどうすればいいのか、どういった教育が必要かを考えなければいけないと思います。

「スマホは中学生になってから!」頭ごなしに言い続けてきたけれど……

小学生が学ぶべき「ネットリテラシー」とは

牧野:今年3月にインターネットでの誹謗中傷の厳罰化を盛り込んだ刑法の改正案が閣議決定されました。小学生でもスマホなどを使って、加害者または被害者になるかもしれません。

佐々木:いまはスマホで何でもできる時代です。指一本で物が買えたり、物事を調べることができ、友達を作ることもできると便利な反面、指一本で人を傷つけることもできてしまう。スマホを持っているということは、SNSを使っているというのとほぼ同義にもなるので、テキストメッセージでいろんな人と繋がりを持つことになります。

テキストメッセージだと、対面では直接言えないようなことも言えてしまうところがあり、そこに怖さがあるんです。子どもたちは知識経験が少ないので、「みんなが言っているから」という同調圧力に負けてしまうこともあります。まわりに流されて誹謗中傷やネットいじめに発展してしまう恐れもあると思います。

牧野:そうなってくると、ネットリテラシーをしっかり教えていくことが大切ですね。特に重要なポイントを教えてください。

佐々木:まずSNSには誹謗中傷者がとても多いんですが、残念ながらSNSのシステム上、誹謗中傷者がいなくなるのは難しいと思っています。では、どうすれば対策になるのかというと、受け手の私たちが誹謗中傷などのコメントを見たときに「いいね」や、拡散をしない。同調しないことが重要です。誹謗中傷者というのは、物事の一部分だけを切り取って指摘するという全体を見る力のない人が多いんです。情報モラルをもってほしいと思います。

実際にあったトラブル事例、過去には「バイトテロ」も社会問題に

牧野:子どもたちが知らないうちに巻き込まれたりするトラブルには、どんな事例がありますか?

佐々木:根拠のない情報を発信するB君という子どもがいて、「○○小学校のA君は万引きで捕まった」「あの子は中学受験ですべて落ちてしまったらしい」という投稿をしていました。ほかの子どもだちもそれをそのまま鵜呑みにし、「A君は万引きで捕まった悪い人なんだ」「A君ダメじゃん」といったコメントがどんどん増えていってしまったんです。結局、B君の投稿が嘘だとわかり、警察を巻き込んで大騒ぎになってしまった事例があります。

牧野:しかもネットだから、あとから消そうと思ってもなかなか難しいですよね。

佐々木:一度ネットに載せてしまったものはデジタルタトゥー、「ネット上の刺青」ということで、自分のスマホから消したとしてもネット上には残ってしまうんです。

牧野:そのときはいいかと思って投稿してしまったことが、5年後、10年後、例えば自分の就職などのときに響いてくることもあるわけですね。

佐々木:大手企業から内定をもらったら大学生で、過去にネットいじめの加害者だったことがわかり、内定を取り消されたこともありました。

牧野:本人はそのときの“ノリ”でSNSに上げてしまうんでしょうけど、よく考えた方がいいですね。

佐々木:過去にはバイト先のコンビニなどでの悪ふざけ動画を投稿した「バイトテロ」というのも社会問題になりましたよね。そのような動画を投稿し、犯罪になって検挙された未成年が本当に多くいました。

スマホデビューにおすすめの年齢は

牧野:そういったこともふまえた上で、スマホは何歳から持たせるのがいいでしょうか?

佐々木:小学校5年生くらいがいいと思います。なぜかというと、小学生のうちにスマホの危険性を親と一緒に学んでほしいからです。親もリテラシーをアップデートしてもらいたい。今は大人だから大丈夫という時代ではありません。大人も騙されたり、無意識のうちに誹謗中傷してしまったりすることもあります。我が子を守るためには、親も最新のネットリテラシー、情報モラルを子どもと一緒に身につけてほしいと思います。

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