a flood of circle『Tour 伝説の夜を君と』ファイナル公演が終了! 自身初となるホールワンマンライブのレポート到着!

「わからないことだらけの世の中で、みんな生きていくのを不安に思ってる。でも、あるはずなんだ、俺たちの生き方が。それをやってきたし。何が正しいかわからなくても、俺はこれが好きだっていうことを世界中に自慢したい。このバンドと友達とスタッフとここに来てくれる人のことを自慢したい。来てくれてありがとう」

a floodof circleのフロントマン、佐々木亮介(Vo, G)は終盤のMCで、こんなふうに語っていた。その言葉が胸に残った。7月8日、LINE CUBE SHIBUYA。今年2月から全国を回ってきたライブツアー『Tour 伝説の夜を君と』のツアーファイナル公演。バンドにとっては初のホールワンマンライブだ。それは、未来の見えない中を“転がってきた”ロックンロール・バンドとして彼らが歩んできた足跡を示すと同時に、未踏の場所を目指し続けるその気概を見せる場でもあった。ステージとオーディエンスが一つになってロックンロールの熱狂と興奮の渦に身を投じる楽しいパーティーであると同時に、そこにあるマインドが決して“逃避”ではなく、今の時代に真っ向から対峙しているということも感じさせてくれる場だった。

ライブは新作アルバム『伝説の夜を君と』の収録曲を軸にしながら、これまでに発表してきたナンバーを織り交ぜていく構成。序盤はオープニングの「A」から「Dancing Zombiez」になだれ込み、「クレイジー・ギャンブラーズ」「狂乱天国」などテンションの高い楽曲を立て続けに披露していく。軽やかにステップを踏みながらグルーヴィーなベースラインを響かせるHISAYO(B)、肉感的で迫力あるビートを叩き出す渡邊一丘(Dr)、涼し気な様子で芯の太いギターサウンドを鳴らすアオキテツ(G)、そしてセンターに立つ佐々木と、4人のアンサンブルがひとつの塊になったようなエネルギーを放つ。

中盤は爽快なギターリフの「バタフライソング」や、ポップなメロディに全員のコーラスが重なる「R.A.D.I.O.」など、陽気で開放感あるナンバーを続けていく。さらに後半、メンバー紹介とそれぞれのソロで見せ場を作ったライブ定番曲「プシケ」、そして新たなアンセムとなりつつある「北極星のメロディー」、初期の名曲「シーガル」を立て続けに披露した流れはライブのクライマックスになった。 終盤「やったことをないことをやろうと思って」──と語り、佐々木はピアノの前に座る。安倍元首相が凶弾に倒れたこの日の事件や、ウクライナ情勢の混迷にも触れつつ、誕生日がマハトマ・ガンジーと同じであることや、“非暴力”と“不服従”を信じていることや、いろんな思いを告げて丁寧に「白状」を弾き語ったシーンも、とても印象に残った。

ドラマティックな「伝説の夜を君と」で本編を締めくくると、アンコールの声に応えてステージに戻った4人は、佐々木がアコースティックギターをかき鳴らすエモーショナルな最新曲の「花火を見に行こう」を披露。最後は“THANK YOU”の文字をバックに客電がついて明るくなった会場にアグレッシブな「Beast Mode」を爆音で届け大団円となった。

これでツアーは終了となるが、バンドはまだまだ貪欲に先に進み続ける。この日のステージ上では、10月20日に代々木公園野外ステージでバンド初のフリーライブ『I'M FREE 2022』が開催されること、そのためのクラウドファンディングが実施されることも発表された。 “特別な夜”を積み重ねていくロックンロールバンドのこの先も楽しみになる一夜だった。

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