全日本アマチュア芸人決定戦 会社員で愛知と東京の遠距離男女コンビが優勝「相乗効果出ている」 

芸人事務所・養成所に所属しない全アマチュアを対象にした「全日本アマチュア芸人No.1決定戦」が16日、都内の新宿文化センター小ホールで開催され、会社員の男女コンビ「夕げ」が優勝した。

200人近い来場者が集った会場、ステージ上の夕げは驚きと喜びが混じった感無量の表情を浮かべた。社会人、大学生、高校生以下の全年齢カテゴリーを対象に、漫才、コント、ピン、落語などジャンルは不問。昨年に続く第2回大会は応募総数298組から選出された12組で争われ、4組によるブロック戦、3組によるファイナルともに5人の審査員から最多3票を獲得。2本の漫才いずれも大きな笑い声と拍手を浴びた。不安そうに声を張り上げるツッコミの鈴木さん(27)は「本当にうれしい。大学時代は決勝に絡んだことすらありませんが、社会人でも続けて良かったです」としみじみ語り、シュールな女性ボケの石井さん(24)は「勝てると思っていなかったので、楽しもうとしたら…良かったです」と声を弾ませた。

二人は早稲田大学ではお笑いサークル・POP3に所属。2019年にコンビを結成し、卒業後、鈴木さんは愛知で鉄鋼メーカー、石井さんは東京で自動車メーカーに勤務する。月に1回ほどライブに出演した際、その前後に2時間ほど練習を行い、腕を磨いてきた。社会人ピン芸人など多彩な形態で活動し、ネタ作りを担う鈴木さんは「大学の時はまるっきりでしたが、何をしたらウケるかだんだん分かってきました。きょう一緒になった方々とも練習してきました」と成長を実感。審査員を務めた馬鹿よ貴方は・新藤竜巳から「ツッコミのフレーズはいろいろなパターンが出てきているが、本来は明確にすべきものなのに『きっと悪口なんだろうなあ』とか不明感を出して次に進むのは新しい」と評価された。大会を主催する社会人お笑い協会代表理事の奥山慶久さんに「趣味だからこその面白さかもしれない。趣味としてお笑いをやる人が広まってほしい我々の理念がある中で、大成功だったと思います」と言わしめた。

遠距離で活動を続ける二人。名誉のみという賞品を手にした鈴木さんと石井さんは「お笑い芸人さんが一番エラいと思うので、まね事をして楽しませていただいて、感謝しかありません。改めてプロの方はすごい」と語った。鈴木さんは「会社でも自信を持ってお客さんと話せるようになって、相乗効果は出ていると思います」と、石井さんは「仕事でしんどいことがあっても、いい息抜きになっています」と、社会人によるアマチュア芸人活動の魅力を語った。

漫才を行う夕げの鈴木(右)と石井=都内
大会の出演者、MC、審査員で記念撮影=都内

◆戦いのあと <Aブロック>魚雷2倍速(社会人、ピン、モノマネ漫談)…0票、鳥山明・暗(大学生&社会人、フリップ&コント)…0票、みんな銀河(社会人、コント)…4票、下町モルモット(社会人、漫才)…1票→みんな銀河ファイナル進出 <Bブロック>ふねしぼり(社会人、コント)…0票、カイオク(社会人、漫才)…0票、ハバネロ胡椒(社会人、漫才)…2票、夕げ(社会人、漫才)…3票→夕げファイナル進出 <Cブロック>キッスエンドラン(社会人、漫才)…2票、肉食いジーヌ(大学生、ピン、ギター漫談)…0票、馬並バトルタイプ(大学生、コント&アカペラ)…0票、惹女香花(大学生、ピン、フリップ漫談)…3票 <ファイナル>みんな銀河(社会人、漫才)…1票、夕げ(社会人、漫才)…3票、惹女香花(大学生、ピン、漫談)…1票 <MC>ザ・ギース <審査員>新藤竜巳(馬鹿よ貴方は)、児島気奈(K―PRO代表)、なかがわりょう(フランスピアノ)、北村直久(構成作家、ワタナベコメディスクール講師)、なんぶ(構成作家)

優勝した夕げを祝福する審査員、MC=都内

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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