ロバンペラの勢い止まらず、7SSで最速タイム。エバンスとの差を広げ最終日へ/WRCエストニア

 東欧エストニアで開催されているWRC世界ラリー選手権第7戦『ラリー・エストニア』は7月16日、競技3日目のSS10~18が行われ、デイ2を総合首位で終えたTOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が引き続きラリーをリード。トップのポジションを維持したまま最終日へと駒を進めた。

 ラリー・エストニアのデイ3は、サービスパークが置かれているタルトゥの南側に設定された4つのステージを各2回走行し、1日の最後にSS1の再走ステージとなるスーパーSS“タルトゥ2”を加えた計9SSで争われた。

 前日の最終ステージとなったSS9でラリーリーダーとなったロバンペラは、3日目のオープニングこそ総合2番手につける僚友、エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)に破れその差を11.1秒に縮められたものの、以降のステージはペースを上げた。

 1年前に、ここエストニアでWRC史上最年少優勝記録を塗り替えた21歳のフィンランド人は、SS11からSS17にかけて圧巻の7ステージ連続優勝を飾り、今大会最大のライバルとなっているチームメイトを突き放した。土曜最後のSS18ではコンマ4秒の後れを取ったが、両者のタイムギャップは最終的に29.1秒まで拡がっている。

 全体としてはドライ路面で行われた3日目のラリーは、午後のループでは降雨もあり一部はウエットコンディションに。また、路面には深い轍(わだち)もできチャレンジングなものになったが、トヨタの若手ドライバーは自身のパフォーマンスが「特別なものではない」と主張した。

「うまくドライブできたと思う。つねにプッシュしつつリスクマネジメントも少ししていた」とロバンペラ。

「(出し切れる)ペースがあまり残っていないとは言えないけど、つねに限界までプッシュしているわけでもない。荒れた場所ではクルマやタイヤに無理はさせる必要はない。それ以外の場所でフラットアウトで行けばいいんだ」

 そう語ったロバンペラに引き離されたエバンスはこの日、2番手タイムを計6回記録しており今季5勝目を目指すチームメイトからの遅れを最小限に留めている。

勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア

■勝田貴元が最終日を前にトップ5入り

 前日と同じく総合3番手につけているオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)も2番手タイムが1回、3番手6回とステージトップ3の常連となった。しかし、首位を争うふたりとの差は確実に広がっており、首位とのギャップは1分11秒5、2番手エバンスとは42.4秒となった。

 彼のチームメイトで総合4番手につけたティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)は、前後の選手とのタイム差があったことからさまざまなセッティングにトライした。TOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションから出場している勝田貴元は、前日の7番手からふたつ順位を上げ5番手に。

 勝田にかわされたアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が6番手。彼らのタイム差は10.9秒だ。エサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1)はSS12でタイヤにトラブルが生じ交換を余儀なくされたため、約2分30秒のタイムを失い順位を7番手まで落としている。

 総合8番手以降はピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)、ガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)、WRC2リーダーのアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)というトップ10オーダーになっている。

 競技最終日となる17日(日)のデイ4は、タルトゥの南側エリアで3本のステージを各2回走行する予定。最終SS24“カンブヤ2”は、ステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスポイントが付与されるパワーステージとなっている。SS19~24の合計距離は77.98km、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は406.27kmに上る。

オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア
エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア
アドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア
アンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ) 2022年WRC第7戦ラリー・エストニア

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