タイヤ脱落で優勝逃した関口雄飛「『大丈夫だろう、何かの勘違いだ』と言い聞かせてた」/第6戦富士決勝

 接触やトラブル、それによって導入されたセーフティカー(SC)が勝負のカギを握るなど、荒れた展開となった全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦富士。前日、雨がらみの予選で久々のポールポジションを奪い、決勝でもトップで周回を重ねた関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)も、ピットアウト直後に左リヤタイヤの脱落という思わぬトラブルに見舞われ、リタイアを喫することとなった。

「スタートもしっかり決められたし、一瞬後ろは来ましたけど、そのあともペースコントロールできました」と関口はレース序盤を振り返る。

 2番手野尻智紀(TEAM MUGEN)は「今回は積極的な作戦で行こう」と、ミニマム周回数となる10周でのピットインを選択したが、関口はステイアウト。「表と裏でやりあうことができた」(関口)と、コース上での両者のギャップは42秒ほどで膠着する展開となる。

 野尻と同等のペースを見せる関口は、背後の坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)に対して3秒ほどのマージンをキープし、ハーフウェイを過ぎた25周でピットへと飛び込んだ。

 チームは5秒3という素早いタイヤ交換作業で、野尻の前で関口を戻すことに成功する。よりフレッシュなタイヤで野尻の前に立つことができたことについて、「自分としては完璧でした」と関口。あとは野尻を従え、残り15周を走り切ればいい……はずだった。

 ピットアウト後、TGRコーナー、コカ・コーラコーナーで、関口は「ちょっと嫌な予感はした」と、トラブルの予兆を感じ取っていた。

「(グリーンファイト)100Rに行ったらちょっとオーバーステアで、ヘアピン(アドバンコーナー)からB(ダンロップ)コーナーまでで、もうこうなってた(ステアリングを取られてた)けど『いや、大丈夫だろう』『なんかの勘違いだ』と言い聞かせて(苦笑)。でも、右・左・右ってハンドル切ったらクルンって。そんなこと起こるとは思ってなかったので……」

 チームの高橋紳一郎工場長はレース後の取材に対し、「結果として、ナットが締まっていなかった。インパクトレンチにも問題はなく、ナットやその他の緩みそうな部品もおかしくない。(ピットアウト)1周目で取れてしまうということは、ただ締まっていなかったということ。関口にはかわいそうなことをしてしまいました。大反省です」とコメントしている。

2022スーパーフォーミュラ第6戦富士 関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)

 一方、決勝後のミックスゾーンに現れた関口は、思いのほかさっぱりとした表情を浮かべていた。

「野尻選手は(ピットアウト後)山本(尚貴)選手に引っかかったらしいですが、それまではクリアな状況で走れていたようです。(相対的に自分は)結構厳しい状況ではあったのですが、その中でも頑張ることができたので、自分としては満足しています」

 絶好のチャンスを逃す結果とはなったが、今戦を迎えるまでわずか13ポイントに燻っていた関口としては、反撃への手応えを感じているようだ。残る4レース、上位をかき回す存在となることが期待される。

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